「うちの業種でも特定技能の外国人を採用できるのかな?」
外国人採用を検討しはじめると、まず最初にぶつかるのがこの疑問ですよね。特定技能は、どの分野でも自由に受け入れられる制度ではありません。国が定めた「特定産業分野」に当てはまる仕事でなければ、そもそも採用ができないんです。
しかも制度は年々アップデートされていて、2026年1月には新しく3分野が追加されたばかり。ネット上には「16分野」と書かれた情報も「19分野」と書かれた情報も混在していて、どれが正しいのか分かりにくくなっています。
さらに2027年4月には、技能実習に代わる「育成就労制度」もスタートします。対象となる分野の考え方が変わる部分もあるため、今のうちに全体像を押さえておきたいところですよね。
- 自社の業種が特定技能の対象に入っているか知りたい
- 結局いま何分野あるのか、正確な情報が欲しい
- 分野ごとにどんな仕事を任せられるのか把握しておきたい
- 新しく追加された分野はいつから採用できるのか気になる
この記事では、そんなお悩みをまとめて解決していきます!特定技能の対象分野を一覧表で整理したうえで、分野ごとの業務内容、受け入れ枠、要件の違いまでわかりやすく解説します。自社が該当するかどうかの判断ポイントもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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特定技能の分野一覧【2026年最新・全19分野】
特定技能で外国人を受け入れられるのは、国が定めた「特定産業分野」に該当する仕事だけです。2026年8月時点で、その数は全19分野。
まずは全体像を一覧表で確認しておきましょう。
特定技能1号で受け入れできる19分野
| 分野 | 所管省庁 | 2号 |
|---|---|---|
| 介護 | 厚生労働省 | × |
| ビルクリーニング | 厚生労働省 | ○ |
| リネンサプライ | 厚生労働省 | × |
| 工業製品製造業 | 経済産業省 | ○ |
| 建設 | 国土交通省 | ○ |
| 造船・舶用工業 | 国土交通省 | ○ |
| 自動車整備 | 国土交通省 | ○ |
| 航空 | 国土交通省 | ○ |
| 宿泊 | 国土交通省 | ○ |
| 自動車運送業 | 国土交通省 | × |
| 鉄道 | 国土交通省 | × |
| 物流倉庫 | 国土交通省 | 未定 |
| 農業 | 農林水産省 | ○ |
| 漁業 | 農林水産省 | ○ |
| 飲食料品製造業 | 農林水産省 | ○ |
| 外食業 | 農林水産省 | ○ |
| 林業 | 農林水産省 | × |
| 木材産業 | 農林水産省 | × |
| 資源循環 | 環境省 | 未定 |
ここで大事なポイントがひとつ。
取得した分野以外で働かせることはできません。
たとえば「宿泊」で受け入れた外国人に、系列の飲食店でホールを担当してもらう、といったことはNGです。人手が足りない部署に融通を利かせたくなる場面もあると思いますが、これは在留資格の範囲を超えてしまいます。
特定技能2号の対象は11分野
特定技能には1号と2号があり、2号の対象は11分野とかなり絞られています。
対象外なのは、介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の5分野。加えて、2026年に追加されたリネンサプライも2号の受け入れは行わないと示されています。物流倉庫と資源循環については、現時点で明らかになっていません。
2号になると在留期間の更新に上限がなくなり、要件を満たせば家族を呼び寄せることもできます。つまり長く働き続けてもらえるかどうかが、分野によって変わってくるということですね。
介護分野については、2号がない代わりに在留資格「介護」への切り替えという道が用意されています。ただし介護福祉士の資格取得が条件になります。
「せっかく育てたのに5年で帰国することになった…」とならないよう、採用前に2号の対象かどうかも確認しておきましょう。
※特定技能2号の取得条件や1号との違いは、こちらで詳しく解説しています。
「12分野」「14業種」「16分野」と情報がバラバラな理由
特定技能について調べていると、「12分野」「14業種」「16分野」など、記事によって数字が違って混乱しませんか?
これは間違いというより、制度が何度も拡大されてきた名残なんです。下の図で、これまでの流れを整理してみました。

こうして見ると、数字が違う記事はその時点では正しかったということが分かりますよね。裏を返せば、古い情報のまま判断すると「実は対象になっていた」「まだ受け入れできなかった」といったズレが起きてしまいます。
特定技能は動きの速い制度です。必ず更新日を確認したうえで情報を集めるようにしましょう。
19分野すべてで今すぐ採用できるわけではない
ここが、実はいちばん誤解されやすいポイントです。
19分野に拡大したのは事実ですが、そのすべてで今すぐ外国人を採用できるわけではありません。「対象分野になった=明日から募集できる」ではないんですね。
現時点で受け入れ可能なのは16分野
現時点で実際に受け入れができるのは、2024年までに追加された16分野です。
2026年1月に加わったリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野は、まだ準備が進められている段階。入管庁も、新しく定められた分野について「省令等の準備が整い次第、受入れが可能となる」と説明しています。
というのも、閣議決定はあくまでスタート地点だからです。実際に採用できるようになるまでには、下の図のようなステップが必要になります。

省令や告示が整い、技能試験がつくられ、協議会の受付が始まって、ようやく在留資格の申請ができるようになります。
このどれか1つでも欠けていると、企業は動けません。
「閣議決定されたからもう大丈夫」と思って準備を進めてしまうと、いざ申請というときに止まってしまいます。自社の分野がどの段階にいるのかを、必ず確認しておきましょう。
新3分野(リネンサプライ・物流倉庫・資源循環)はいつから?
気になるのは開始時期ですよね。
現時点では、2027年度ごろの受け入れ開始が有力とみられています。育成就労制度のスタートが2027年4月であることを踏まえると、それに合わせて整備が進む可能性が高いためです。
ただし、3分野が同じペースで進んでいるわけではありません。上乗せ基準の告示が公布された分野もあれば、まだ運用要領が固まっていない分野もあり、進捗にはばらつきがあります。
該当する業界の企業様は、「いつから採用できるか」を待つのではなく、今のうちに受け入れ体制を整えておくのがおすすめです。試験の実施や協議会の受付が始まってから動き出すと、どうしても他社に出遅れてしまいます。
具体的には、社内の受け入れ担当者を決めておく、住居や生活支援の体制を検討しておく、登録支援機関に相談しておく、といったところから始められますよ。
※新3分野の準備状況は頻繁に更新されます。最新の情報は所管省庁の公式サイトでご確認ください。
【分野別】特定技能外国人に任せられる仕事内容
ここからは、19分野それぞれでどんな仕事を任せられるのかを見ていきましょう。
分野名だけを見て「うちの業種に近いから大丈夫そう」と判断するのは危険です。実際に任せたい業務が、その分野で認められた範囲に入っているかが判断の分かれ目になります。

なお、分野によって業務の細かさはかなり違います。1つの分野にまとまっているものもあれば、10区分に分かれているものも。まずは全体像を確認しておきましょう。
①介護
入浴・食事・排せつの介助といった身体介護と、レクリエーションや機能訓練の補助などの支援業務が対象です。掲示物や物品の管理といった周辺業務も担当できます。
長く対象外だった訪問系サービスも、2025年4月から一定の要件のもとで従事できるようになりました。事前研修や同行訪問など、事業者側に求められる対応があります。
②ビルクリーニング
オフィスや商業施設など、多くの人が利用する建物の内部清掃を担当します。住宅は対象外です。ホテルの客室清掃は、アメニティ補充やベッドメイクを含めた一連の作業として認められています。
受け入れには、建築物清掃業または建築物環境衛生総合管理業の登録を受けた営業所であることが必要です。
③リネンサプライ
ホテルや病院で使われたシーツ・タオル類の入荷から、仕分け、洗濯、乾燥、仕上げ、検品、出荷までの一連の工程を担当します。
対象はあくまで事業者向けにリネンを貸し出す事業です。一般家庭の衣類を預かるクリーニング業は含まれませんのでご注意ください。
④工業製品製造業
かつて3分野に分かれていた製造業が統合された分野で、業務区分は10と最多です。機械金属加工や電気電子機器組立てのほか、印刷・製本、縫製、コンクリート製品製造なども対象に加わりました。
受け入れにあたっては、JAIM(工業製品製造技能人材機構)への加入が必要です。
⑤建設
土木・建築・ライフライン設備の3区分に整理されています。以前は19区分と細かく分かれていましたが、区分内であれば複数の作業を担当できるようになりました。
型枠施工、左官、とび、内装仕上げ、配管など、幅広い作業が対象です。
⑥造船・舶用工業
造船・舶用機械・舶用電気電子機器の3区分で、船舶や舶用機器の製造工程を担当します。溶接、塗装、鉄工、配管、機械加工などが中心です。
受け入れ前に、国土交通省から事業者としての認定を受けておく必要があります。
⑦自動車整備
日常点検整備・定期点検整備・特定整備が主な業務です。整備内容の説明や部品販売、洗車、車内清掃なども担当できます。
なお、自動車の組立ては製造業側の分野にあたり、この分野には含まれません。
⑧航空
空港グランドハンドリングと航空機整備の2区分があります。前者は航空機の誘導や手荷物・貨物の取り扱い、機内清掃など。後者は機体や装備品の点検・交換といった基礎的な整備です。
現在の受け入れは、圧倒的にグランドハンドリングに偏っています。
⑨宿泊
フロント、企画・広報、接客、レストランサービスと、宿泊業務を幅広くカバーできます。1人でフロントも配膳もこなせるのは、この在留資格ならではです。
ただしベッドメイクを中心の業務にすることはできません。
清掃をメインで任せたい場合はビルクリーニング分野が適しています。
⑩自動車運送業
バス・タクシー・トラックの3区分です。バス・タクシーは第二種、トラックは第一種の運転免許が必要になります。
さらにバス・タクシーの運転者には原則としてN3相当の日本語力が求められ、他分野より高いハードルが設けられています。
⑪鉄道
軌道整備・電気設備整備・車両整備・車両製造・運輸係員の5区分です。レール交換から信号設備の保守、車両の製造、駅係員・車掌・運転士の業務まで幅広くカバーします。
利用者と直接接する運輸係員には、N3以上の日本語力が必要です。
⑫物流倉庫
倉庫内での入出庫、仕分け、梱包、在庫管理などが想定されています。EC市場の拡大と物流の人手不足を背景に追加された分野です。
現在は受け入れ開始に向けた準備段階にあります。
⑬農業
耕種農業と畜産農業の2区分。栽培管理や飼養管理に加え、集出荷や選別も担当できます。収穫物の加工・運搬・販売、冬場の除雪といった関連業務も可能です。
繁忙期と閑散期の差が大きいため、漁業とともに派遣での受け入れが認められています。
⑭漁業
漁業と養殖業の2区分です。漁具の製作・補修、魚群の探索、水産動植物の採捕、漁獲物の処理などが対象になります。
区分ごとに試験が分かれており、両方で働いてもらうには2つの試験に合格する必要があります。
⑮飲食料品製造業
酒類を除く飲食料品の製造・加工と、安全衛生の確保が対象です。原料処理から加熱・殺菌・成形まで、一連の工程を担当できます。
スーパーマーケットのバックヤードも、食品製造を行っている場合は対象に含まれます。
⑯外食業
調理、接客、店舗管理と、飲食店の業務をひと通り任せられます。シフト管理やメニュー企画といった店舗運営の業務まで含まれるのが特徴です。
ホテル併設のレストランでの配膳も、この分野で対応できます。
⑰林業
苗木の植え付けから育林、丸太の生産までが対象です。生産した丸太の加工や資材の運搬なども関連業務として認められています。
労働災害のリスクが高い業種のため、安全対策の体制づくりが重視されます。なお、この分野は直接雇用のみです。
⑱木材産業
製材、単板製造、合板製造、集成材製造、プレカット加工など、木材・木製品の加工が対象です。
家具や建具といった装備品の製造は含まれません。
似ているようで区分が異なるため、事業内容をよく確認しましょう。
⑲資源循環
廃棄物の処理や再資源化にかかわる選別・加工などが想定されています。従事者の高齢化と再生資源の需要拡大を背景に追加されました。
こちらも現在は準備段階にあり、受け入れ開始に向けて整備が進められています。
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「分野」「業務区分」「関連業務」の関係を理解しておこう
分野一覧を眺めていると、「うちは飲食店だから外食業だな」と、分野名だけで判断してしまいがちです。
でも実際に確認すべきなのは、もう一段下の階層。任せたい作業が、認められた業務の範囲に入っているかです。ここを取り違えると、受け入れ後にトラブルにつながることもあります。
分野 → 業務区分 → 実際の作業という3段階
特定技能で任せられる仕事は、3つの階層で整理されています。

いちばん外側にあるのが分野。介護、建設、外食業といった業界の区分けです。
そのなかにあるのが業務区分。たとえば建設なら「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3つに分かれています。試験もこの区分ごとに実施されるため、合格した区分の仕事しか担当できません。
そして業務区分のなかに、型枠施工や鉄筋施工といった実際の作業が含まれます。
ここで注意したいのが、区分をまたいだ配置はできないという点です。「土木」で受け入れた人に建築現場の内装仕上げを任せる、といったことは認められません。農業や漁業のように、区分ごとに試験が分かれている分野も同じです。
採用前に「どの区分の試験に合格しているか」まで確認しておきましょう。
関連業務だけを任せるのはNG
各分野には、主な業務のほかに関連業務が定められています。日本人スタッフが普段からやっているような、周辺の作業のことです。
たとえば製造業なら部品の運搬や清掃、自動車整備なら洗車や車内清掃、鉄道なら事務作業や作業場所の整理整頓などが該当します。
これらに付随的に従事することは問題ありません。ただしルールがひとつ。
清掃や運搬ばかりをお願いしていると、本来の業務に従事していないと判断されるおそれがあります。「人手が足りないから今日は片付けだけ」が続いてしまわないよう、業務の配分には気を配りましょう。
対象になりそうで対象外の業種
最後に、間違えやすいケースをいくつか挙げておきます。
- コンビニ・小売業:2026年1月の検討でも追加は見送られました。レジや品出しといった業務を特定技能で任せることはできません。
- 一般事務・経理:どの分野にも該当しません。事務職を想定している場合は「技術・人文知識・国際業務」など別の在留資格を検討することになります。
- 一般家庭向けのクリーニング:リネンサプライが追加されましたが、対象は事業者向けにリネンを貸し出す事業です。個人のお客様から衣類を預かる形態は含まれません。
- 家具・建具の製造:木材産業に見えますが、装備品の製造は対象外とされています。
- 自動車の組立て:自動車整備ではなく製造業側の分野にあたります。
判断に迷ったときは、自己判断せずに分野ごとの所管省庁に問い合わせるのが確実です。入管庁のサイトには分野別の問い合わせ先がまとめられていますので、そちらを確認してみてください。
※特定技能以外の在留資格については、こちらもあわせてご覧ください。
分野ごとに決められた特定技能の受け入れ枠
対象分野に該当していても、無制限に採用できるわけではありません。
分野ごとに受け入れ人数の見込みが設定されていて、これが実質的な上限として運用されています。意外と知られていない部分ですが、採用計画を立てるうえでは無視できないポイントです。
特定技能1号の受け入れ枠は5年間で約80万人
2026年1月の閣議決定で示された特定技能1号の受け入れ見込数は、5年間で805,700人(2029年3月末まで)。
同時にスタートする育成就労の426,200人と合わせると、総枠は約123万人という規模になります。
ここで押さえておきたいのが、この数字は目安ではなく上限として運用されるという点です。しかも前回2024年3月の設定時と比べると、枠が縮小した分野が少なくありません。
生産性向上や国内人材の確保がどこまで進むかを踏まえて精査された結果で、「枠は増え続けるもの」ではないということですね。
分野別の受け入れ枠一覧
特定技能1号の分野別の内訳は、次のとおりです。

| 分野 | 受け入れ枠 | 分野 | 受け入れ枠 |
|---|---|---|---|
| 工業製品製造業 | 199,500人 | 造船・舶用工業 | 23,400人 |
| 飲食料品製造業 | 133,500人 | 宿泊 | 14,800人 |
| 介護 | 126,900人 | 漁業 | 14,800人 |
| 建設 | 76,000人 | 物流倉庫 | 11,400人 |
| 農業 | 73,300人 | 自動車整備 | 9,400人 |
| 外食業 | 50,000人 | 航空 | 4,900人 |
| ビルクリーニング | 32,200人 | 木材産業 | 4,500人 |
| 自動車運送業 | 22,100人 | リネンサプライ | 4,300人 |
| 鉄道 | 2,900人 | 林業 | 900人 |
| 資源循環 | 900人 | 合計 | 805,700人 |
上位3分野だけで全体の半分以上を占める一方、林業や資源循環のように900人しか枠がない分野もあります。枠の小さい分野ほど、早く動いた企業が有利になる構図です。
枠が埋まると新規受け入れが止まることも
「上限といっても、そこまで埋まらないのでは?」と思われるかもしれません。
ですが実際に、受け入れ枠の上限に達したことを理由に、新規の受け入れが停止された事例があります。過去には産業機械製造の分野で在留資格認定証明書の交付が一時停止され、直近でも同様の措置がとられた分野が出ています。
こうなると、採用できるのはすでに国内にいる特定技能外国人だけ。海外から新しく呼び寄せることができなくなり、限られた人材を企業同士で取り合う状況になります。
「まだ先の話」と構えていると、いざ採用しようとしたときに入口が閉まっていた、ということも起こり得ます。受け入れを検討しているなら、枠に余裕があるうちに動き出しておくのが賢明です。
分野によって違う受け入れ要件
「対象分野に該当していて、枠にも余裕がある」——それでもまだ、確認すべきことが残っています。
特定技能には全分野に共通するルールと、分野ごとに上乗せされるルールの2種類があるからです。ここを見落とすと、準備を進めてから引き返すことになりかねません。
技能試験と日本語試験
特定技能1号を取得するには、原則として2つの試験に合格する必要があります。
ひとつは分野ごとの技能試験。もうひとつが日本語試験で、日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格が基準になります。
ただし、この基準が上乗せされる分野もあります。

お客様や乗客と直接やり取りする業務ほど、高い日本語力が求められる仕組みです。特にバス・タクシーの運転者は運転免許の取得も必要になるため、採用までのハードルは他分野より高めだと考えておきましょう。
なお、技能実習2号を良好に修了した外国人は、同じ分野であれば試験が免除されます。
協議会への加入
意外と見落とされがちなのが、協議会への加入です。
分野ごとに所管省庁が設置している組織で、受け入れ企業は構成員になることが求められます。加入していないと在留資格の申請が通らないため、実質的には必須の手続きです。
タイミングにも注意が必要で、外国人を受け入れる前に加入を済ませておくのが原則。「採用が決まってから」では間に合わないケースもあります。
新しく追加された分野では、そもそも協議会の受付がまだ始まっていないこともあります。自社の分野の状況を早めに確認しておきましょう。
分野ごとの上乗せ基準・雇用形態の制限
このほかにも、分野独自のルールがいくつかあります。
- 許認可などの保有:ビルクリーニングなら建築物清掃業などの登録、造船・舶用工業なら国土交通省の認定、自動車運送業なら運送事業の許可といった具合に、事業者としての資格が問われます。
- 受け入れ人数の上限:介護と建設では、事業所の常勤職員数などに応じて受け入れられる人数に上限があります。
- 雇用形態の制限:特定技能は原則として直接雇用ですが、農業と漁業に限り派遣での受け入れが認められています。繁忙期と閑散期の差が大きい業種への配慮です。
- 団体への加入:工業製品製造業ではJAIM(工業製品製造技能人材機構)、建設では受入事業実施法人への加入が必要になります。
このように、必要な準備は分野によってかなり違います。自社の分野の運用要領を一度きちんと読み込んでおくことが、遠回りに見えていちばんの近道です。
2027年からは特定技能1号への移行ルートが変わる
最後に、今後に関わる大きな変更点をお伝えしておきます。
これまで、技能実習2号を良好に修了すれば試験免除で特定技能1号へ移行できました。技能実習からの移行は、建設分野などで受け入れの主流ルートになっていたほどです。
ところが2027年4月に技能実習が育成就労制度へ切り替わると、この免除がなくなります。育成就労から特定技能1号へ進むには、技能検定3級等または特定技能1号評価試験と、日本語能力A2相当(N4など)の試験に合格しなければなりません。
つまり、外国人本人が試験に受かるかどうかが、そのまま定着率に直結するということです。受け入れ企業には試験を受けさせる義務も生じるため、3年間の育成計画を早めに設計しておく必要があります。
※育成就労制度の詳しい内容は、こちらの記事で解説しています。
※そもそも技能実習と特定技能はどう違うのか、こちらで比較しています。
2027年4月スタートの育成就労制度と分野の関係
2027年4月、技能実習制度に代わって育成就労制度がスタートします。
こちらも分野を限定した制度ですが、特定技能とは対象の数が違います。

特定技能が19分野なのに対し、育成就労は17分野。差にあたるのが航空と自動車運送業の2分野です。この2つは特定技能でのみ受け入れが可能で、育成就労の対象からは外れています。
なぜかというと、育成就労は3年かけて人材を育てることを前提とした制度だからです。運転免許のように国内での資格取得が前提となる業務は、この枠組みになじみにくいと判断されました。
一方で、2026年に追加されたリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野は、育成就労にも含まれています。
覚えておきたいのは、育成就労と特定技能はつながった制度だということです。
育成就労で3年間かけて育て、試験に合格すれば特定技能1号へ。さらに条件を満たせば2号へと進み、在留期間の更新に上限がなくなります。最初の入口から長期戦力になるまでのルートが、制度としてあらかじめ用意されているわけですね。
そのため、これから外国人採用を始めるなら、特定技能と育成就労の両方を視野に入れて計画を立てるのがおすすめです。すでに技能や日本語力を備えた人材が必要なら特定技能、時間をかけて自社で育てたいなら育成就労、といった使い分けができます。
【FAQ】特定技能の分野に関するよくある質問
最後に、特定技能の分野についてよく寄せられる質問にお答えしていきます。
Q. 特定技能の分野は全部でいくつありますか?
2026年8月時点で19分野です。
ただし、2026年1月に追加されたリネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野はまだ準備段階にあり、実際に採用できるのは16分野となっています。
Q. 特定技能2号はどの分野が対象ですか?
11分野が対象です。介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の5分野は対象外となっています。
新しく追加された3分野のうち、リネンサプライは2号の受け入れを行わないことが示されています。物流倉庫と資源循環については、現時点で明らかになっていません。
Q. コンビニや小売業で特定技能は使えますか?
使えません。
人手不足が深刻な業界ではありますが、2026年1月の検討でも追加は見送られました。国内の雇用状況とのバランスや、業務内容を線引きすることの難しさなどが理由とされています。
Q. 事務職や営業職で受け入れることはできますか?
特定技能の対象分野には含まれていません。
事務系の職種で外国人を採用したい場合は、「技術・人文知識・国際業務」など別の在留資格を検討することになります。
Q. 途中で分野を変更することはできますか?
自動的にはできません。
別の分野で働いてもらうには、その分野の技能試験に合格したうえで、在留資格変更の手続きを取る必要があります。同じ分野内であっても、業務区分が違えば同様です。
Q. 自社が対象分野に該当するか分からないときは?
分野ごとに所管省庁の問い合わせ窓口が設けられていますので、そちらに確認するのが確実です。入管庁のサイトに一覧がまとめられています。
判断のポイントは業種名ではなく、実際に任せる業務が認められた範囲に入っているかです。自己判断で進めてしまうと、申請の段階でつまずくことがあります。
Q. 2027年に育成就労が始まると、特定技能の分野は変わりますか?
特定技能は19分野のまま変わりません。
新しく始まる育成就労の対象は17分野で、航空と自動車運送業の2分野が含まれない点が違いになります。
Q. 技能実習から特定技能への移行は今後どうなりますか?
現在は、技能実習2号を良好に修了していれば同じ分野で試験が免除されます。
ただし2027年4月以降、技能実習に代わる育成就労から特定技能1号へ進む際には、技能試験と日本語試験の合格が必要になります。試験免除のルートはなくなるとお考えください。
まとめ
H2⑨ まとめ
いかがでしたでしょうか?
特定技能の対象分野一覧から、分野ごとの仕事内容、受け入れ枠、要件の違い、2027年からの制度変更までを解説しました。この記事の要点をまとめると、次のようになります。
- 特定技能の対象は全19分野(2026年1月に3分野が追加)
- ただし今すぐ採用できるのは16分野。新3分野は準備段階
- 特定技能2号の対象は11分野で、介護など5分野は対象外
- 判断すべきは業種名ではなく、業務区分に当てはまるかどうか
- 分野ごとに受け入れ枠(上限)があり、埋まると新規受け入れが止まることも
- 試験・協議会・許認可など、要件は分野によって大きく異なる
- 2027年4月から育成就労制度がスタート。対象は17分野
自社が対象分野に入っているか分かったら、次は「実際に任せたい業務が業務区分に含まれているか」の確認に進みましょう。ここが固まれば、必要な準備も自然と見えてきます。
特定技能は制度の動きが速く、分野の追加や要件の変更が毎年のように行われています。情報の鮮度がそのまま準備の精度に直結する制度ですので、所管省庁の公式サイトもあわせて確認しながら進めてくださいね。
※受け入れにかかる費用が気になる方は、活用できる助成金もあわせて確認しておきましょう。

