【2027年施行】育成就労の費用は企業負担がいくら?内訳と相場を徹底解説!

2027年4月から始まる「育成就労制度」。技能実習制度に代わる新しい仕組みとして注目されていますが、企業のご担当者さまから一番多く聞こえてくるのが「結局、うちはいくら払うことになるの?」というお声なんです。

しかも今回の制度では、これまで外国人本人が負担していた費用の一部が企業側に移ることが決まっています。「負担が増えるらしい」という話だけが先行していて、モヤモヤしている方も多いのではないでしょうか?

  • 育成就労で企業が負担しなければならない費用って何?
  • 1人受け入れると初期費用・月額費用はいくらかかる?
  • 技能実習と比べて、実際どのくらい増えるの?
  • 費用を抑える方法はある?

こんなお悩みを、この記事でまるっと解決します!

今回は、「法令で企業負担が決まっている費用」と「実務上かかる費用の相場」をきちんと分けて、育成就労の費用の全体像をわかりやすく整理していきますね。出入国在留管理庁の公式Q&Aや省令の内容もふまえて解説しますので、社内の予算組みの参考にしていただけたら嬉しいです。

※制度そのものの全体像を先に知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

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育成就労で企業が負担する費用の全体像【早見表】

まずは「育成就労で企業がどんな費用を負担することになるのか」を、ざっくり全体像から見ていきましょう!

育成就労の費用は、大きく分けると次の2つになります。

  • 初期費用……受け入れの入口で1回だけ発生する費用
  • ランニング費用……就労が続くあいだ毎月かかり続ける費用

「監理支援機関に払うお金だけでしょ?」と思われがちなんですが、実際は送出機関への費用、渡航費、住居の準備、日本語教育、在留手続き……と、いろいろな項目が積み重なって総額になっていくんです。

【一覧表】費用項目と負担者・目安金額

区分主な費用項目目安(1人あたり・税抜)
初期費用送出機関への費用・渡航費・在留手続き20万〜60万円程度
初期費用住居の初期費用・入国後講習・日本語教育10万〜40万円程度
初期費用育成就労計画の認定手数料数千円程度
ランニング監理支援費月2万〜5万円程度
ランニング給与・社会保険料(事業主負担分)地域別最低賃金以上+諸費用
ランニング住居費・生活支援・通訳対応など条件により変動
※金額は技能実習制度での実績や公表されている相場をもとに編集部が整理した目安です。
分野・送出国・地域・人数・住居条件によって大きく変わりますので、確定額は契約先の見積もりでご確認ください。

初期費用は「入口でまとまって出ていく投資」、毎月の費用は「雇用が続く限り積み上がる固定費」という性質の違いがあります。3年間トータルで見ると、実はランニング費用のほうが総額に効いてくるんですね。

「法令で決まっている費用」と「相場の費用」は分けて考える

ここでひとつ、とても大事なポイントをお伝えさせてください!

上の表の中には、法令で「企業(または監理支援機関)が負担すること」と決められている費用と、単に実務上かかってくる費用の2種類が混ざっています。この2つはまったく性質が違うので、ごちゃ混ぜにすると予算設計を間違えてしまうんです。

たとえば送出機関への費用のうち一定額を超える部分や、監理支援費、日本語講習にかかる費用などは、本人に負担させることが認められていません。一方で住居費や食費は、条件を満たせば本人負担にできる場合があります。

この線引きについては次で詳しく解説していきますので、まずは「全体でこれくらいかかるんだな」という感覚をつかんでいただければOKです。

【法令編】育成就労で企業負担が”義務”になっている費用

ここからは、「法律やルールで企業側の負担と決まっている費用」を整理していきますね。

育成就労制度は「外国人本人に借金を負わせない」という考え方が土台にあります。そのため、これまで本人が払っていた費用のいくつかが、はっきりと日本側の負担として整理されました。

①送出機関への費用のうち「月給2か月分」を超えた分

一番インパクトが大きいのがこれです。

育成就労では、送出機関が本人から徴収できる費用に「月給(所定内月額)の2か月分まで」という上限が設けられました。そして出入国在留管理庁のQ&A(Q74)では、この上限を超える部分については育成就労実施者または監理支援機関が負担すると明記されています。

つまり「送出機関の請求が高かった分は日本側で持ってくださいね」という建て付けなんですね。

【計算例】月給18万円なら本人負担の上限は36万円

具体的に見てみましょう。ここでいう「月給」は残業代などを含まない所定内賃金の月額なので、注意が必要です。

就労開始時の所定内月額本人が負担できる上限額
16万円32万円
18万円36万円
20万円40万円
22万円44万円

技能実習では本人の支払い総額が平均50万円を超えていたというデータもありますから、賃金水準が低い地域や職種ほど、企業側に回ってくる金額は大きくなりやすい構造です。

上限の対象になる費用の範囲は想像以上に広い

ここ、見落としがちなのですが…この「2か月分」の枠に入るのは、送出手数料や職業紹介費だけではありません。

健康診断費、技能検定にかかる費用、日本語講習費、現地での移動費、渡航費、旅券・査証の申請費用、一般管理費まで、送り出しの過程で発生した費用が名目を問わずまとめて計算されるとされています。送出機関と実質的に一体の教育機関などへの支払いも同じ扱いです。

「別の名目にすればセーフ」ということにはならないので、契約時に費目の内訳をきちんと確認しておきましょう。

②監理支援費は本人から徴収できない

監理支援機関が行う職業紹介・講習・監査指導などにかかる実費は「監理支援費」と呼ばれ、これは受入企業側が支払うものと定められています。育成就労外国人本人から徴収することはできません。

しかも禁止されているのは直接請求だけではないんです。

  • 給与から天引きする
  • 「協力金」「研修費」など別の名目に置き換える
  • 貸付や前借りの形で実質的に負担させる
  • 本人の同意書をとって負担させる

こうした「実質的に本人へ転嫁する行為」もすべてNGとされています。同意があってもダメ、というのは押さえておきたいポイントですね。

③日本語講習・入国後講習の費用

育成就労では日本語能力の要件が制度としてしっかり組み込まれています。この講習費用について、Q&A(Q66)では育成就労実施者または監理支援機関が、費用の負担を含めて日本語能力向上のために必要な措置を講じるとされています。

「本人に払ってもらう前提」ではない、という点が技能実習との大きな違いです。

④一時帰国が必要になった場合の旅費

農業・漁業など季節性のある分野では、閑散期に一時帰国して育成就労を一定期間休止する計画を立てることが認められています。この場合の旅費は、単独型なら受入企業、監理型なら監理支援機関が負担することとされています(Q18)。

該当する分野は限られますが、自社が対象になる場合は予算に組み込んでおきましょう。

【注意】本人に負担してもらえる費用との線引き

「じゃあ何もかも企業負担なの?」というと、そうではありません。

住居費・食費・水道光熱費のように、本人が実際に利益を受けている費用については、一定の条件のもとで本人負担(給与からの控除)が認められます。

ただし満たすべき条件があります。

  • 提供される内容を本人が十分に理解したうえで合意していること
  • 金額が実費相当額など適正な範囲であること
  • 内容と金額を本人に明示していること
  • 法定控除以外を給与から差し引く場合は、労働基準法第24条にもとづく労使協定を結んでいること
  • 控除前の賃金が最低賃金を満たしていること

「負担禁止の項目」と「実費なら控除できる項目」を混同しないことが、実務上いちばん大切なところ。判断に迷ったら社会保険労務士さんに確認しながら進めるのが安全です。

育成就労の初期費用の内訳と相場

ここからは実務ベースのお話。外国人材が母国で選考を受けてから、日本で就労を始めるまでの「準備フェーズ」でかかる費用を見ていきましょう。

初期費用は受け入れの入口で1回だけ発生する費用です。まとまった金額になりやすいので、事前に把握しておくと予算組みがラクになりますよ!

送出機関への費用

外国人材は母国の送出機関を通じて日本での就労にエントリーします。この送出機関に支払う費用(募集・選考・出国前教育・各種手続きの代行など)が、初期費用の中でも大きな割合を占めます。

先ほどお伝えしたとおり、本人が払える金額には上限があるため、超過分が企業側に回ってくるのがポイント。

送出国や機関、出国前教育の内容によって金額の幅はかなり大きく、数万円〜数十万円程度が目安とされています。

※送り出し機関の役割や仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。

渡航費・在留手続きにかかる費用

来日にかかる航空券代は、送出国や渡航時期(繁忙期かどうか)によって変わりますが、片道で数万〜十数万円程度が目安です。

あわせて、在留資格認定証明書の交付申請やビザ取得などの手続き費用も発生します。行政書士さんに依頼する場合はその報酬も加算されるので、自社対応か外部委託かで総額が変わってきますね。

住居の準備費用

意外と見落とされがちなのが住居まわりです。受け入れ企業には、外国人材の生活拠点を用意する役割があります。

賃貸を借り上げる場合、敷金・礼金・仲介手数料に加えて、寝具・冷蔵庫・洗濯機といった家具家電の準備費用がまとめて発生します。社員寮を活用できるかどうか、個室かシェアか、地域の家賃水準がどうかで金額はかなり動きますが、10万〜30万円程度を見ておくと安心です。

入国後講習・日本語教育の立ち上げ費用

育成就労では、就労開始前までにA1相当(N5程度)以上の日本語能力を満たすことが求められます。試験に合格していない場合は、相当する講習を100時間以上受講する必要があります。

この日本語教育、やり方によって費用がガラッと変わるのが特徴なんです。

方法1人あたりの費用目安特徴
オンライン学習サービス3万〜10万円程度抑えやすく、人数が増えても単価が下がりやすい
語学学校・外部機関へ委託10万〜30万円程度時間数やカリキュラムの充実度で幅が出る
社内に専任担当を確保体制により変動初期の体制構築は必要だが複数名なら割安に

複数名まとめて教育する場合は1人あたりの単価が下がる傾向にあるので、採用計画とセットで考えるのがおすすめです。

育成就労計画の認定手数料

育成就労では外国人材ごとに「育成就労計画」を作成し、認定を受ける必要があります。この認定申請には数千円程度の手数料がかかります。金額自体は小さいですが、人数分発生する費用なので忘れずに計上しておきましょう。

【まとめ】初期費用は1人あたり30万〜100万円程度が目安

すべてを合計すると、1人あたり30万〜100万円程度というのが一般的な水準です。ただ、この幅がとても広いことからも分かるとおり、条件次第で大きく変動します。

金額を左右する主な要因は次のとおりです。

  • 送出国・送出機関(費用体系が機関ごとに違う)
  • 採用人数(1名だけだと固定費の按分が効きにくい)
  • 地域(家賃水準・渡航距離)
  • 住居の条件(社員寮か借り上げか、個室かシェアか)
  • 日本語教育を内製するか外部委託するか
  • 手続きを自社で行うか行政書士に依頼するか

「相場はこれくらい」と丸暗記するよりも、何によって金額が動くのかを押さえておくことのほうが、見積もりを比較するときに役立ちますよ。

毎月かかるランニングコストの内訳

初期費用の次は、就労が始まってから毎月ずっと発生し続ける費用を見ていきましょう。

初期費用は入口で一度きりですが、こちらは3年間ずっと積み上がっていきます。総額で見るとインパクトが大きいのは実はこちらのほうなんです。

監理支援費(監理支援機関への支払い)

育成就労では、これまでの「監理団体」が「監理支援機関」に、企業が支払う費用も「監理支援費」という名称に変わります。

育成就労はまだ実績相場が形成されていないため、技能実習の監理費水準を参考にすると1人あたり月2万〜5万円程度が目安になります。ただし監理支援機関の体制要件が厳しくなった影響で、技能実習より高めに設定される見方も出ています。

監理支援費に含まれるのは、定期的な巡回・面談、行政への報告、相談対応、各種手続きの支援などです。育成就労では費用の内訳を明示することが求められる方向なので、「何にいくらかかっているのか」が確認しやすくなるのは嬉しいポイントですね。

※監理支援機関の要件が厳しくなった背景については、以下の記事で解説しています。

給与・社会保険料

毎月の費用でもっとも大きいのは、やはり給与です。

育成就労では日本人と同等以上の報酬が求められ、当然ながら勤務地の地域別最低賃金以上を支払う必要があります。さらに、健康保険・厚生年金といった社会保険料や労働保険料の事業主負担分も発生します。これは日本人従業員とまったく同じ扱いです。

また、育成就労計画には昇給の見込みを記載することになるため、3年間を通じた賃金の伸びも織り込んで予算を立てておく必要があります。「最低賃金ちょうどで3年間据え置き」という設計は現実的ではない、ということですね。

住居費・生活支援・通訳対応

企業が住居を借り上げて提供する場合は、毎月の家賃が発生します。家賃の一部を本人に負担してもらうか、企業が福利厚生として補助するかは運用によって分かれます(本人負担にする場合の条件は「【法令編】育成就労で企業負担が”義務”になっている費用」でご説明したとおりです)。

このほか、生活オリエンテーション、行政手続きへの同行、母国語での相談対応といった生活支援・通訳支援にも費用がかかります。これらは監理支援費に含まれる場合と、別途実費が発生する場合があるので、契約前にどこまでが基本料金の範囲なのかを確認しておきましょう。

日本語教育の継続費用

入国後講習で終わり、ではないのが育成就労の特徴です。3年間かけて段階的に日本語能力を伸ばしていくことが前提になっているため、継続的な学習支援の費用も毎月のコストとして見込んでおく必要があります。

オンライン教材の月額利用料、外部スクールへの委託費、社内での学習時間の確保など、どんな形で続けるかを最初に決めておくと、あとから慌てずに済みますよ。

「見えにくいけれど確実に発生する費用」に注意

体調不良や近隣トラブル、就労上の相談など、想定外の場面での通訳対応・同行対応も実際にはよく発生します。金額としては大きくなくても、積み重なると無視できません。

こうした費用は見積書に載りにくいので、「基本料金に含まれるのか、都度請求なのか」を契約時にはっきりさせておくのが、あとあとのトラブル防止につながります。

技能実習と比べて企業負担はどう変わる?

「今の技能実習と比べて、結局どのくらい増えるの?」——ここが一番気になるところですよね。

結論からお伝えすると、トータルでは技能実習よりやや高くなる可能性が高いというのが現時点での見方です。

ただし、増える項目もあれば逆に整理される項目もあるので、両方セットで押さえておきましょう。

※技能実習・特定技能・育成就労の制度比較はこちらもどうぞ。

費用が増える3つの理由

①送出機関への費用が企業側にシフトする:これが最大の要因です。技能実習では本人が高額な手数料を払っていましたが、育成就労では上限が設けられたことで、超過分が企業や監理支援機関の負担になります。「制度全体の費用が増えた」というより、負担する人が本人から企業に移ったという表現のほうが実態に近いですね。

②日本語教育が制度としてしっかり組み込まれた:技能実習でも入国後講習はありましたが、育成就労では就労開始前のA1相当(N5程度)の要件に加え、3年間かけてA2相当を目指す設計になっています。この教育コストが新たに乗ってきます。

③監理支援機関の体制要件が厳しくなった:監理支援機関には、外部監査人の設置、常勤役職員2人以上といった要件が新たに課されます。機関側の運営コストが上がる分、監理支援費に反映される可能性が高いんです。加えて転籍対応という新しい業務も増えるため、料金体系そのものが見直される見込みです。

負担が軽くなる可能性がある部分

一方で、プラスに働く要素もあります。

  • 費用の透明化……悪質な業者への不透明な支払いが制限され、「何にいくら払っているか」が見えるようになる
  • 失踪リスクの低減……借金を背負って来日する構図が是正されることで、途中離脱による再採用コストの発生確率が下がる
  • 長期雇用への道筋……育成就労3年→特定技能1号5年とつなげられるため、3年ごとに採用・入国コストをかけ直す必要がなくなる

技能実習では3年で帰国が前提だったので、そのたびに数十万円〜100万円規模の採用コストが繰り返し発生していました。同じ人材に長く働いてもらえれば、中長期のトータルコストはむしろ下がる可能性があるんです。

【比較表】技能実習と育成就労の費用構造

費用項目変化の方向背景
送出機関への費用企業負担へシフト本人負担に上限が設けられ、超過分が日本側へ
日本語教育費増える入国前後の日本語要件が制度として強化
監理支援費上昇の可能性外部監査人の義務化・転籍対応など業務量が増加
給与適正化(上昇傾向)転籍が可能になり、定着には競争力ある待遇が必要に
初期費用やや増加上記が積み重なる形
再採用コスト減る可能性特定技能への移行で長期雇用しやすくなる

こうして並べてみると、育成就労のコスト増は「無駄に高くなった」のではなく、これまで見えていなかった負担が正しい場所に置き直された結果だということが分かります。

外国人本人が借金を背負って来日する構図がなくなれば、失踪や早期離職のリスクも下がります。日本語能力が上がれば、現場のコミュニケーションも安全管理もスムーズになります。

「コスト増」ではなく「人材への投資」として捉え直したうえで、投資対効果を最大化する設計を考えていくのが、これからの受け入れ企業に求められる視点だと思います。

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育成就労の費用を3年間でシミュレーション

ここまで見てきた費用を、実際に3年間まとめるといくらになるのかを試算してみましょう。

イメージをつかみやすくするため、ここでは給与・社会保険料・家賃を除いた「制度運用にかかる費用」に絞って計算しています(給与まわりは日本人を雇う場合と同じ性質の費用なので、別枠で考えたほうが比較しやすいんです)。

※以下はすべて編集部が公表資料と業界相場をもとに整理した目安です。分野・地域・送出国・契約先によって大きく変わりますので、実際の金額は見積もりでご確認ください。

1名を受け入れた場合

費用項目3年間の目安
初期費用(送出関連・渡航・手続き)約35万円
初期費用(住居の準備)約20万円
初期費用(入国後講習・日本語教育)約15万円
監理支援費(月3.5万円×36か月)約126万円
日本語教育の継続費用約15万円
在留手続き・各種届出約5万円
合計約216万円

1名だと3年間で200万円前後。月あたりに直すと約6万円のイメージです。

注目していただきたいのが、監理支援費だけで全体の6割近くを占めているという点。初期費用のインパクトに目が行きがちですが、実は毎月コツコツ積み上がる費用のほうが総額を左右するんですね。

5名を受け入れた場合

費用項目1人あたり3年間の目安
初期費用(合計)約60万円
監理支援費(月3万円×36か月)約108万円
日本語教育の継続費用約8万円
在留手続き・各種届出約5万円
1人あたり合計約181万円
5名の総額約905万円

1名のときと比べて、1人あたり約35万円ダウンしました。理由はシンプルで、人数が増えるとスケールメリットが効いてくるからです。

  • 日本語教育を集合研修にできるので、1人あたりの単価が下がる
  • 監理支援機関との交渉で複数人割引が期待できる
  • 手続きをまとめて依頼することで委託費を圧縮できる

人数が増えるほど1人あたりの負担は下がる

10名規模になると、さらに効率化の余地が広がります。日本語指導や事務手続きを社内で担当できる人を置く「内製化」という選択肢も現実味を帯びてきますね。初期の体制構築コストはかかりますが、継続的に受け入れる予定があるなら回収は十分可能です。

逆に1〜2名規模の企業さんは、固定費の按分が効きにくいぶん1人あたりの負担が高くなりやすいので、

  • 日本語教育をオンライン中心にする
  • 近隣企業と合同で研修を実施する
  • 複数の監理支援機関から相見積もりを取る

といった工夫でコントロールしていきましょう。

3年で終わりではなく「8年」で考えるのがポイント

最後にひとつ大事な視点を。

育成就労は3年で完結する制度ではなく、特定技能1号(最長5年)への移行が前提に設計されています。つまり、同じ人材に最長8年間活躍してもらえる可能性があるということ。

3年ごとに新しい人材を採用し直せば、そのたびに初期費用が丸ごと発生します。でも移行がうまくいけば、その繰り返しを避けられるんです。

「3年でいくらか」ではなく「8年でいくらか」という長い物差しで見ると、育成就労の費用の意味合いもだいぶ変わって見えてきますよ。

※特定技能2号への移行条件については、以下の記事をご覧ください。

見落としがちな「隠れコスト」に注意

見積書に並んでいる金額だけで予算を組むと、あとから「思っていたより高かった…」となりがちです。

ここでは、表に出にくいけれど実際には発生しやすい費用を整理しておきますね。

転籍が発生したときの再採用コスト

育成就労で最も大きな「読めないコスト」がこれです。

技能実習では原則として転籍ができませんでしたが、育成就労では一定の要件を満たせば本人の意向による転籍が認められます。もし転籍が発生すると、後任の採用・受け入れをまた一からやり直すことになり、初期費用に近い金額がもう一度出ていくことになります。

「せっかく育てたのに」という悔しさもありますが、コスト面で見ても影響は小さくありません。だからこそ、定着支援に投じる費用は「余分な出費」ではなく再採用コストを避けるための保険として位置づけると納得感が出てきます。

転籍された場合、初期費用は補填してもらえる?

ここ、意外と知られていないのですが…補填の仕組みがあります!

本人意向による転籍の場合、転籍先の企業が転籍元の企業に対して、外国人材の取次ぎ・育成にかかった費用として一定額を支払うルールになっています。金額は、主務大臣が告示で定める額に、転籍元でどれくらいの期間就労していたかに応じた按分率をかけて算出されます。

早い段階で転籍されたほうが補填額は大きく、期間が長くなるほど小さくなっていく仕組みです。「初期投資が丸損になる」という設計ではないので、そこは安心材料と言えますね。

ただし、逆の立場になれば支払う側でもあります。転籍者を受け入れる予定がある企業は、この支払いも予算に入れておきましょう。なお、具体的な金額を定める告示は今後制定される予定なので、最新情報のチェックは欠かせません。

※転籍の要件や分野別の制限期間については、以下の記事をご覧ください。

一時帰国・再入国にかかる費用

本人の一時帰国や、それにともなう再入国手続きが発生した場合、渡航費や手続き費用が追加でかかることがあります。誰が負担するのかは契約条件によるため、受け入れ前に取り決めておくとトラブルを防げます。

トラブル対応の通訳・同行費用

体調不良で病院に行く、近隣とのトラブルが起きる、就労上の相談が入る——こうした場面での通訳対応や同行は、思っている以上に発生します。

これが監理支援費に含まれているのか、都度実費請求なのかは機関によってバラバラです。契約前に「どこまでが基本料金の範囲ですか?」と確認しておくのが鉄則ですよ。

社内の管理工数というコスト

最後に、金額としては見えないけれど確実に発生しているのがこれ。

在留期限の管理、面談記録の保管、日本語教育の進捗確認、各種届出の期限管理…これらをExcelや紙で回していると、担当者の時間がどんどん奪われますし、更新漏れのリスクも出てきます。

担当者の人件費も立派なコストです。総額を考えるときは、支払う金額だけでなく社内でかかる工数もあわせて見直してみてくださいね。

育成就労の企業負担を抑える4つの方法

「思ったよりかかるんだな…」と感じた方も多いかもしれません。でも大丈夫、工夫できる余地はちゃんとあります!

ここで大前提としてお伝えしておきたいのが、安さだけを追いかけないこと

支援が手薄な機関を選んだ結果、トラブル対応や手続きの遅れで結局コストがかさんだ、というのはよくある話なんです。目指すのは「削る」ではなく「適正な水準に保つ」ですね。

①複数の監理支援機関から相見積もりを取る

監理支援費も送出機関への費用も、機関によって金額と支援内容にかなり幅があります。1社だけで決めてしまうと、それが高いのか安いのか判断できません。

最低でも3機関ほどから見積もりを取り、金額と支援の中身を並べて比較しましょう。育成就労では監理支援費の内訳を明示することが求められる方向なので、「何にいくらかかっているのか」を確認しやすくなります。

チェックしたいのは次のポイントです。

  • 巡回・面談の頻度はどのくらいか
  • 通訳や同行対応は基本料金に含まれるか
  • 手続きの代行はどこまで対応してくれるか
  • 複数名の場合の割引はあるか

②日本語教育の方法を工夫する

初期費用の中でやり方によって金額が最も動くのが日本語教育です。

外部の語学学校にフル委託すると1人10万〜30万円程度かかりますが、オンライン学習サービスを活用すれば3万〜10万円程度に抑えられるケースもあります。人数が増えるほど1人あたりの単価が下がるのも特徴ですね。

社内に日本語でのコミュニケーションが得意な方がいれば、その人を指導役に立てるのも有効です。ただし丸投げにならないよう、体制と時間をきちんと確保してあげてくださいね。

③助成金・自治体の支援制度を活用する

外国人材の受け入れや人材育成に関しては、国や自治体が各種の助成・補助制度を設けている場合があります。

たとえば人材開発支援助成金やキャリアアップ助成金など、要件を満たせば活用できる可能性のある制度がありますし、自治体独自の外国人材受入支援事業を実施しているところもあります。日本語教育にかかる費用の一部を補助してくれる自治体もあるんですよ。

ただし注意点がひとつ。育成就労制度に特化した助成金がある、と断言できる状況ではありません。要件も時期によって変わります。「補助金ありきで受け入れ計画を立てる」のではなく、「使えたら加算」くらいに考えておくのが安全です。最新情報は厚生労働省や各自治体の窓口で確認しましょう。

※活用できる助成金の種類や申請の流れは、こちらで詳しくまとめています。

④定着率を上げてトータルコストを下げる

そして、実はこれがいちばん効果の大きい方法です。

転籍が発生すれば再採用コストがまるごと乗ってきます。逆に長く働いてもらえれば、3年ごとの採用サイクルから抜け出せて、特定技能への移行という長期の道筋も描けます。

  • 日本人と同等以上の公正な待遇を確保する
  • 相談窓口を設けて悩みを抱え込ませない
  • 住環境を整える(生活のストレスは定着率に直結します)
  • キャリアパスを具体的に示す

こうした投資は一見「費用が増える」ように見えますが、再採用コストの発生確率を下げるという意味では、もっともリターンの大きい支出なんです。

コスト削減より「投資対効果」の視点で

育成就労は、決して安価な労働力を確保する制度ではありません。ただ、日本語能力や業務習熟度が上がれば生産性も上がりますし、長く働いてもらえれば採用コストの繰り返しも防げます。

「いかに安く済ませるか」ではなく「かけた費用をどう回収するか」。この視点に切り替えると、打つべき手が見えやすくなりますよ。

費用の準備はいつから始めるべき?施行までのスケジュール

「2027年4月からの制度なら、まだ先の話かな」——実はそうでもないんです!

育成就労には施行前から動き出せる(というより、動いておかないと間に合わない)タイミングがあります。ここを押さえておくと、予算計上のスケジュールも組みやすくなりますよ。

2026年9月1日から育成就労計画の事前受付がスタート

大事な日付を整理しておきますね。

時期できること
2026年4月15日〜監理支援機関の許可申請(施行日前申請)の受付開始
2026年9月1日〜育成就労計画の認定申請(施行日前申請)の受付開始
2027年4月1日育成就労制度の施行。実際の受け入れ開始

つまり、2026年9月にはもう計画の申請ができるということ。

施行日から受け入れをスタートしたい企業にとっては、この時点で「誰を、どの分野で、いくらの費用をかけて受け入れるか」がある程度固まっている必要があります。

しかも計画申請には、パートナーとなる監理支援機関がすでに決まっていることが前提です。逆算すると、機関の選定と見積もり比較は2026年前半のうちに済ませておきたいところなんですね。

今からやっておきたい準備リスト

予算面に絞って、優先度の高い順に挙げてみます。

  • ①現在の外国人材コストを洗い出す:技能実習を活用中の企業さんは、まず過去の支払い実績を項目ごとに集計してみましょう。「うちは1人あたり実際いくら払っていたのか」が分かると、育成就労での増減も具体的に計算できます。
  • ②監理支援機関から見積もりを取る:制度が始まってから探すのでは遅いです。許可を取得した機関から早めに見積もりを取り、料金体系と支援内容を比較しておきましょう。育成就労の料金体系は各機関がこれから設計していく段階なので、複数見ておく価値は大きいです。
  • ③日本語教育の体制を決める:外部委託か、オンラインか、社内対応か。ここで金額がかなり変わるので、早めに方針を固めておくと予算が読みやすくなります。
  • ④住居の確保方針を決める:社員寮を使うのか、賃貸を借り上げるのか。地域の家賃相場と合わせて確認しておきましょう。
  • ⑤差額分を次期以降の予算に反映する

①〜④が固まれば、技能実習との差額が見えてきます。あとはそれを来期以降の予算に組み込み、不足があれば削減策を検討する流れですね。

「まだ確定していない部分」も多いので情報チェックは継続を

ひとつ注意点を。育成就労の細かいルールは、主務省令や運用要領で順次示されている段階です。転籍時の補填額を定める告示のように、これから制定されるものもあります

ですので、いま組んだ予算がそのまま最終形になるとは限りません。

出入国在留管理庁や外国人育成就労機構のサイトを定期的にチェックしつつ、大枠を先に固めて細部は都度アップデートしていく進め方が現実的だと思います。

早めに動いた企業ほど、余裕をもって良いパートナーと良い人材を選べます。ぜひ今日から一歩、動き出してみてくださいね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

2027年4月に施行される育成就労制度について、企業が負担する費用の内訳や相場、技能実習との違い、そして負担を抑える方法まで詳しく解説してきました!

今回の重要なポイントをまとめると、以下のようになります。

  • 育成就労の費用は「初期費用」と「毎月かかるランニング費用」の2つに分かれる
  • 初期費用は1人あたり30万〜100万円程度、監理支援費は月2万〜5万円程度が目安
  • 送出機関への費用は本人負担が月給2か月分までに制限され、超過分は企業または監理支援機関の負担になる
  • 監理支援費・日本語講習費は本人から徴収できない(天引きや別名目での転嫁もNG)
  • 住居費や食費は、条件を満たせば実費の範囲で本人負担にできる
  • 3年間の総額は1名で約216万円、5名なら1人あたり約181万円まで圧縮できる
  • 転籍が発生した場合、転籍先から初期費用の一部が補填される仕組みがある
  • 2026年9月1日から育成就労計画の事前受付がスタートするため、準備は今から

育成就労は、技能実習と比べると企業の負担がやや増える制度です。ただそれは「無駄に高くなった」わけではなく、これまで外国人本人が抱えていた負担が、あるべき場所に置き直されたということなんですよね。

借金を背負って来日する構図がなくなれば、失踪や早期離職のリスクも下がります。日本語能力が上がれば、現場のコミュニケーションも安全管理もスムーズになります。そして特定技能へつなげていけば、3年ごとに採用し直すサイクルからも抜け出せます。

「コスト」ではなく「長く働いてもらうための投資」。この視点で費用設計を考えられる企業さんが、これからの時代に外国人材から「選ばれる企業」になっていくのではないでしょうか。

今回の記事を参考に、ぜひ自社の受け入れ計画とコストシミュレーションを進めてみてくださいね!