外国人の方の在留カードを見たときに、「特定活動」と書かれていて戸惑った経験はありませんか?
「技術・人文知識・国際業務」や「留学」なら何となくイメージが湧きますが、「特定活動」だけは名前を見ても中身がまったく分からないんですよね。
実は「特定活動」は、他の在留資格に当てはまらない活動の“受け皿”として作られた、少し特殊な在留資格なんです。法務大臣が一人ひとりについて活動内容を指定するしくみのため、同じ「特定活動」でも、フルタイムで働ける人もいれば、まったく就労できない人もいます。
そこで今回は、在留資格「特定活動」の基本から、種類の全体像、代表的なケースごとの就労ルール、そして企業が必ず確認すべき「指定書」の見方まで、初めての方にも分かりやすく解説していきます!
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在留資格「特定活動」とは?
在留資格「特定活動」とは、法務大臣が一人ひとりの外国人について、特に指定した活動を行うための在留資格です。
「留学」や「技術・人文知識・国際業務」のように活動内容があらかじめ決まっている在留資格とは違い、特定活動は中身が個別に決められます。つまり、同じ「特定活動」でも、認められている活動は人によってまったく別物ということですね。
法務大臣が「個別に」活動を指定する在留資格
たとえば、卒業後も就職活動を続けている留学生、ワーキング・ホリデーで滞在している方、日本の大学を出て働いている方。この3人はいずれも在留カードには「特定活動」と記載されますが、できることはそれぞれ違います。
「特定活動」という名前は、いわば入れ物の名前。中に何が入っているかは、一人ひとり確認しないと分からないんです。

なぜ「特定活動」という枠組みがあるの?
外国人の方が日本で行う活動は年々多様化していて、すべてを既存の在留資格に当てはめるのは難しくなっています。そこで、どの在留資格にも当てはまらない活動の“受け皿”として用意されているのが特定活動です。
しかも、新しい在留資格をつくるには入管法の改正が必要ですが、特定活動は法務大臣の判断で活動の種類を追加できます。そのため、一時的に必要になった措置にも柔軟に対応できるのが特徴です。近年ではデジタルノマドや、事情があって就労の継続が難しくなった方への措置なども、この枠組みで対応されています。
「特定活動ビザ」と呼ばれることもある
現場では「特定活動ビザ」という呼び方をよく耳にしますよね。ただ、厳密にはビザ(査証)と在留資格は別の制度で、特定活動は在留資格のひとつという位置づけです。意味が通じれば問題ありませんが、申請書類などでは「在留資格」の表記を使うと覚えておくと安心です。
在留期間は最長5年
特定活動の在留期間は、5年・3年・1年・6か月・3か月、または法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)とされています。
こちらも一律ではなく、活動の内容ごとに決まる点に注意が必要です。たとえば就職活動のための特定活動なら6か月といった具合に、ケースによって大きく変わります。
在留資格「特定活動」の種類は大きく3つ
ひとくちに特定活動といっても、その根拠となる法律や告示によって、大きく3つのグループに分かれています。

まずはこの全体像を押さえておくと、あとの話がぐっと分かりやすくなりますよ。
①入管法に規定された特定活動(法定特定活動)
法務大臣の告示ではなく、出入国管理及び難民認定法(入管法)の中で直接定められている特定活動です。「法定特定活動」とも呼ばれます。
- 特定研究等活動:法務大臣が指定した機関で、特定分野の研究・研究指導・教育に従事する活動
- 特定情報処理活動:法務大臣が指定した機関で、情報処理に関する業務に従事する活動
- 特定研究等家族滞在活動・特定情報処理家族滞在活動:上記2つの活動を行う方の配偶者や子どもが滞在するための活動
いずれも高度な専門性を持つ人材とそのご家族が対象なので、一般企業の採用で目にする機会は多くありません。
②告示特定活動(○号告示)
法務大臣があらかじめ告示で定めている特定活動です。「5号(ワーキング・ホリデー)」「46号」というように、番号で呼ばれるのが特徴ですね。
告示特定活動の一番のポイントは、入管法を改正しなくても、法務大臣の判断で種類を増やしたり削除したりできること。そのため社会の状況に合わせて内容が入れ替わり、現在は50種類以上が定められています。近年ではデジタルノマドなども追加されました。
裏を返すと、情報が古くなりやすい分野でもあります。
実務で使う際は、必ず出入国在留管理庁の最新の告示を確認してくださいね。
③告示外特定活動
①にも②にも当てはまらないけれど、個別の事情を考慮して法務大臣が認めた活動が告示外特定活動です。
代表的なのは、次のようなケースです。
- 就職先が決まらないまま卒業した留学生が、引き続き就職活動をする場合
- 在留資格の変更や更新が不許可となり、出国の準備をする場合
- 高齢の親を海外から呼び寄せる場合(老親扶養)
告示外特定活動には、①②と大きく違う点がひとつあります。それは、海外から直接呼び寄せることができないという点です。すでに日本に滞在している方が、事情に応じて変更するかたちで取得することになります。
なお、あくまで個別判断ですので、上のケースに当てはまれば必ず許可されるというものではありません。
告示特定活動の主な号数一覧
告示特定活動は数が多いため、企業で目にする機会が比較的多いものを中心にまとめました。
| 分類 | 号数 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 外交・家事使用人 | 1号・2号 | 外交官等、高度専門職等が雇用する家事使用人 |
| 協定関連 | 5号 | ワーキング・ホリデー |
| 国際交流・実習 | 9号・12号・15号 | インターンシップ、短期インターン、国際文化交流 |
| EPA関連 | 16〜31号 | インドネシア・フィリピン・ベトナムの看護/介護研修生とその家族 |
| 医療滞在 | 25号・26号 | 治療目的の滞在とその同伴者 |
| 高度人材関連 | 33号・34号 | 高度専門職の配偶者の就労、その親 |
| 研究・情報処理 | 36〜39号 | 研究者・教育者、情報処理技術者とその家族 |
| 長期観光 | 40号・41号 | 観光・保養目的の長期滞在とその家族 |
| 留学生の就職支援 | 46号・47号 | 本邦大学等卒業者とその家族 |
| 起業支援 | 44号・45号 | 外国人起業家とその家族 |
| リモートワーク | 53号・54号 | デジタルノマドとその家族 |
※内容の変更・削除が頻繁にあるため、参考としてご覧ください。
企業が押さえておきたい特定活動7選
50種類以上ある特定活動ですが、実際に採用の場面で目にするものはある程度限られています。

ここでは、企業の担当者さんが押さえておきたい7つのケースを紹介しますね。
①卒業後の就職活動(告示外特定活動)
日本の大学や専門学校に通っていた留学生が、卒業までに就職先が決まらなかった場合に、卒業後も就職活動を続けるための在留資格です。
在留期間は6か月で、更新は原則1回まで。つまり最長で1年ということです。
ここで注意したいのが就労の扱いです。この特定活動は原則として就労できず、別途「資格外活動許可」を受けてはじめて週28時間以内のアルバイトが可能になります。「留学」のときに資格外活動許可を持っていても引き継がれないので、改めての申請が必要です。
②特定活動46号
日本の4年制大学や大学院を卒業し、高い日本語能力を持つ方を常勤で雇用する際の在留資格です。
最大のポイントは、「技術・人文知識・国際業務」では難しかった接客業務や製造業務といった現場の仕事にも従事できること。しかも、本人の学歴と業務内容が直接関連していなくてもよいという柔軟さがあります。
ただし、単純作業だけを任せることはできません。翻訳・通訳の要素があるコミュニケーションや、大学等で学んだことを活かす業務が含まれている必要があります。
主な要件は、日本の大学・大学院の卒業、日本語能力試験N1(またはBJT480点以上)、そして常勤であること。パート・アルバイトは対象外です。
③ワーキング・ホリデー(5号)
協定を結んだ国・地域の若者が、休暇を主な目的として日本に滞在する制度です。在留期間は1年または6か月で、更新は認められていません。
滞在資金を補う範囲での就労は認められていますが、あくまで休暇が目的。労働がメインの活動になることは認められていない点に注意が必要です。
また相手国によっては、日本に滞在したまま在留資格を変更できないケースもあります。その場合はいったん帰国してもらい、改めて申請する流れになります。
④インターンシップ(9号)・サマージョブ(12号)
海外の大学生が、日本企業で実務経験を積むための在留資格です。
インターンシップ(9号)は報酬を受け取る実習が対象で、期間は1年以内かつ修業年限の2分の1以内。学業の一環として単位の認定を受けることが条件になります。
サマージョブ(12号)は夏季休暇などを利用した短期の就労で、期間は3か月以内。単位取得が条件ではない点がインターンシップとの違いです。
なお報酬がない実習の場合は、期間に応じて「短期滞在」や「文化活動」の扱いになります。
⑤デジタルノマド(53号)
海外の企業に所属したまま、リモートワークをしながら日本に滞在する方のための在留資格です。近年追加された比較的新しい枠組みですね。
日本国内の企業と雇用契約を結んで働くものではないため、採用の場面で直接関わることは少ないかもしれません。ただ「特定活動=日本で働く人」とは限らない好例なので、覚えておくと理解が深まりますよ。
⑥特定技能1号への移行準備
他の在留資格から「特定技能1号」への変更を目指しているものの、審査が在留期限に間に合わないケースがあります。そんなときの特例として、移行の準備をしながら就労できる特定活動(4か月・就労可)が認められることがあります。
技能試験・日本語試験に合格していることなどが要件です。この期間も特定技能1号の通算在留期間(上限5年)に含まれる点は押さえておきましょう。
※技能実習を修了した方が特定技能へ移行するケースも多くあります。なお技能実習制度は2027年4月1日に育成就労制度へ移行し、以降は育成就労から特定技能1号へつながるルートが基本になります。制度の違いは以下で解説しています。
⑦出国準備・難民認定申請中などのケース
在留資格の変更や更新が不許可となった方には、出国準備期間として特定活動が許可されます。期間は通常30日程度で、この場合は原則として就労できません。
また、難民認定を申請中の方に特定活動が与えられることもあります。この場合は就労できるケースとできないケースの両方があり、在留カードの表記は同じ「特定活動」です。
つまり、⑦のようなケースこそ書類の確認が欠かせないということですね。詳しくは次の章で解説します。
特定活動では働ける?就労可否の考え方
ここまで読んでいただいた方は、もうお気づきかもしれません。特定活動でいちばん多い誤解が、「特定活動=働ける在留資格」という思い込みなんです。
このセクションでは、就労可否の考え方を整理していきますね。
「特定活動だから働ける」とは言えない

結論から言うと、特定活動というだけでは働けるかどうか判断できません。
理由はシンプルで、特定活動は法務大臣が一人ひとりに活動内容を指定する在留資格だから。指定された内容の中に「報酬を受ける活動」が含まれていれば働けますし、除かれていれば働けない、というだけの話なんです。
しかも在留カードの在留資格欄は、就労できる人もできない人も同じ「特定活動」。カードの表記だけでは見分けがつかないのが、この在留資格のややこしいところですね。
フルタイムで働けるケース
指定された範囲内でフルタイム就労が認められるパターンです。代表例が特定活動46号で、常勤雇用が前提となっています。
ほかにも、特定技能1号への移行準備として認められる特定活動(4か月・就労可)などがこれにあたります。
ただし「フルタイムOK=どんな仕事でもOK」ではありません。46号であれば専門性を活かす要素が求められますし、業種や職種が細かく指定されているケースもあります。認められている範囲を超えた業務は任せられないという点は必ず押さえておきましょう。
週28時間以内のアルバイトが認められるケース
卒業後に就職活動を続けている留学生などが、これにあたります。
このケースで大事なのは、特定活動そのものは就労不可だということ。別途「資格外活動許可」を受けることで、はじめて週28時間以内のアルバイトが可能になります。
「留学」のときに資格外活動許可を持っていた方でも、特定活動に変更した時点でその許可は引き継がれません。変更申請中の期間もアルバイトはできないので、この点は本人にも企業側にも注意が必要なポイントですね。
※週28時間の数え方や長期休暇中の扱いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
まったく就労できないケース
特定活動の中には、報酬を受ける活動そのものが認められていないものもあります。
代表例は、在留資格の変更や更新が不許可となった方の出国準備期間です。就職活動のための特定活動も、資格外活動許可がなければ同じく就労できません。
万が一、就労できない方を働かせてしまうと、雇用した企業側が「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。「知らなかった」では済まされないため、必ず事前の確認を行いましょう。
【表】ケース別の就労可否まとめ
| ケース | 就労の可否 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 特定活動46号 | 指定された範囲内で可能 | 業務内容に専門性の要素があるか |
| 特定技能1号への移行準備 | 就労可のケースあり | 受入れ機関・業務が指定どおりか |
| ワーキング・ホリデー | 滞在資金を補う範囲で可能 | 就労がメインになっていないか |
| インターンシップ(9号) | 報酬ありの実習として可能 | 期間・学業との関連性 |
| 卒業後の就職活動 | 資格外活動許可があれば週28時間以内 | 許可の有無と時間管理 |
| 出国準備 | 原則不可 | 就労させないこと |
※あくまで一般的な整理です。実際の可否は個別の指定内容によって異なります。
就労できるかは「指定書」で確認する
前の章でお伝えしたとおり、在留カードを見ただけでは特定活動の中身は分かりません。
そこで登場するのが「指定書」という書類です。特定活動の外国人を採用するなら、ここがいちばんの要になります。
指定書とは?どこにある書類なの?

指定書とは、法務大臣が指定した活動内容が記載された書類のこと。在留カードと一緒に交付され、原則としてパスポートに添付されています。
在留カードが「在留資格の名前」を示すものだとすると、指定書は「その人が実際に何をしていいのか」を示すもの。セットで確認してはじめて全体像が分かる、というイメージですね。
なお、指定書があるのは特定活動だけです。他の在留資格では活動内容が制度上決まっているため、こうした書類は発行されません。
記載例①:就労できる場合
指定書には、認められている活動が文章で書かれています。「報酬を受ける活動」を認める趣旨の記載があれば、就労が可能と判断できます。
たとえばワーキング・ホリデーの場合、休暇を過ごす活動とあわせて、旅行資金を補うために必要な範囲で報酬を受ける活動が認められる旨が記載されます。
ただし、ここでも大事なのは「範囲」です。この例であれば、あくまで滞在資金を補う程度であることが前提。フルタイムでがっつり働いてもらう、という使い方はできません。
記載例②:就労できない場合
一方、記載の中に「報酬を受ける活動を除く」といった文言が入っている場合は、就労できません。
代表的なのが、卒業後に就職活動を続ける留学生のケース。就職活動とそれに伴う日常的な活動は認められるものの、収入を伴う事業や報酬を受ける活動は除外される、という形で記載されます。
この場合にアルバイトをしてもらうには、別途「資格外活動許可」が必要になる、というわけですね。
業種・職種の指定にも注意
「報酬を受ける活動」が認められていても、そこで安心してはいけません。
指定書には、勤務先や従事できる業務、分野などが細かく書かれているケースがあります。指定された勤務先以外で働かせたり、範囲外の業務を任せたりすると、認められた活動を超えてしまうことになります。
「就労可の記載があるから大丈夫」で止めず、最後の一文まで目を通しておくと安心です。
在留カードだけで判断してはいけない理由
ここまでの内容をまとめると、こうなります。
- 在留カードの在留資格欄は、誰でも同じ「特定活動」
- 就労制限の欄は「指定書により指定された就労活動のみ可」といった表記になる
- 具体的に何ができるかは、指定書を見ないと分からない
つまり在留カードは、「指定書を見てくださいね」と案内してくれる書類とも言えます。採用時には必ず在留カードと指定書をあわせて確認し、判断に迷ったら行政書士などの専門家に相談してくださいね。
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外国人を雇用する際に確認すべき4つのポイント
ここまでの内容を、実務で使えるチェックリストの形に整理しておきましょう。

特定活動の方を採用するときは、次の4つを順番に確認していけばOKです。
①在留カードの在留資格と在留期限
まずは在留カードの現物を見せてもらい、在留資格欄が「特定活動」になっているかを確認します。あわせてチェックしたいのが在留期間の満了日です。
期限が近い場合は、更新や変更の手続きが進んでいるかも聞いておくと安心ですね。また、在留カードそのものが偽造されているケースもゼロではありません。コピーだけで済ませず、必ず原本を確認しましょう。
②就労制限の有無の欄
在留カードには「就労制限の有無」という欄があります。特定活動の場合、ここには「指定書により指定された就労活動のみ可」といった表記がされます。
つまり在留カードだけでは判断できず、次のステップに進んでくださいという合図。この時点で「就労制限あり=雇えない」と早合点しないよう注意してくださいね。
③指定書に書かれた活動内容
いちばん重要なのがここです。パスポートに添付されている指定書を見せてもらい、認められている活動内容を最後まで読み込みます。
- 「報酬を受ける活動」が認められているか、除かれているか
- 勤務先や業務内容が具体的に指定されていないか
- 自社で任せたい仕事が、その範囲に収まっているか
この3点が確認できれば、就労可否の判断はほぼつきます。
④資格外活動許可の有無
指定書で就労が認められていない場合でも、資格外活動許可があればアルバイトとして雇用できるケースがあります。
許可の有無は在留カードの裏面で確認できます。ただし、許可された時間は原則として週28時間以内。他社でも働いている場合はすべての勤務先を合算した時間で判断されるため、掛け持ちの有無も確認しておきましょう。
確認を怠ると「不法就労助長罪」のリスクも
就労が認められていない方を働かせてしまった場合、雇用した企業側が不法就労助長罪に問われる可能性があります。指定された範囲を超えた業務に従事させた場合も同じです。
しかも、「知らなかった」では責任を免れられないとされている点が怖いところ。うっかりの見落としでも、企業として重いリスクを負うことになります。
とはいえ、やるべきことは4つのチェックだけ。順番に確認していけば防げるものですので、社内でフローとして仕組み化しておくのがおすすめです。判断に迷う場合は、行政書士など専門家に確認しましょう。
特定活動と特定技能の違い
「特定活動」と「特定技能」。名前が似ているので、混同してしまう方がとても多いんです。
でも中身はまったく別の制度なので、ここで整理しておきましょう。
制度の目的が違う
いちばん大きな違いは、何のために作られた制度なのかという点です。

特定活動は、既存の在留資格に当てはまらない活動を受け止めるための、いわば“受け皿”。就労が目的とは限らず、休暇や治療、就職活動といった働かない活動も含まれます。
一方の特定技能は、人手不足が深刻な分野で外国人材を受け入れるために作られた制度。就労することが前提の在留資格です。
対象となる範囲が違う
特定活動は、ワーキング・ホリデーから研究者、家事使用人まで、対象が非常に幅広いのが特徴です。しかも法務大臣の判断で種類が増減するため、範囲そのものが変動します。
対して特定技能は、介護・外食業・建設・農業といった特定産業分野があらかじめ決まっています。分野ごとに業務区分も定められているので、範囲がはっきりしているんですね。
就労できる範囲の決まり方が違う
特定活動は、就労できるかどうかも、どこまでできるかも一人ひとりの指定内容次第。だからこそ指定書の確認が欠かせません。
特定技能は、対象分野と業務区分の範囲内で就労可能というルールが制度として決まっています。確認すべきは分野・業務内容・受入れ機関の要件などになり、判断の仕方がだいぶ変わってきます。
【比較表】特定活動と特定技能の違い
| 比較項目 | 特定活動 | 特定技能 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 他の在留資格に当てはまらない活動への対応 | 人手不足分野での人材受け入れ |
| 就労が前提か | 前提ではない | 就労が前提 |
| 活動内容の決まり方 | 一人ひとり個別に指定 | 分野・業務区分ごとに制度で規定 |
| 対象範囲 | 非常に幅広い(50種類以上) | 定められた特定産業分野 |
| 主な確認書類 | 在留カード+指定書 | 在留カード、雇用契約、分野別の要件書類など |
| 注意点 | 同じ名称でも中身が異なる | 分野・業務区分の適合を確認する |
なお、特定活動から特定技能へ変更するケースもあります。移行の準備期間として特定活動が使われることもあるので、両者はまったくの無関係というわけではないんですね。
なお特定技能の対象分野は、2027年4月1日から19分野に拡大されます。
※特定技能には1号と2号があり、それぞれ要件が異なります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
特定活動を申請・雇用する際の注意点
最後に、実務で押さえておきたい注意点をまとめておきます。

特定活動ならではの“つまずきやすいポイント”ばかりなので、採用を検討している方はぜひチェックしてくださいね。
審査基準が非公表で、許可の見通しが立ちにくい
特定活動は種類が多く、制度の作りもかなり細かいのが特徴です。しかも審査基準が公表されていない活動も多いため、「この書類を揃えれば通る」という明確な正解が見えにくいんですね。
そのため、要件を押さえきれずに不許可となってしまうケースも少なくありません。許可が下りる前提でスケジュールを組まないというのが、実務上の大事な心構えになります。
提出書類が多く、準備に時間がかかる
就労を伴う特定活動を申請する場合、勤務先や業務内容に関する資料も必要になるため、提出書類の量がどうしても多くなりがちです。
書類を揃えるだけでも時間がかかりますし、不備や不足が出れば追加対応も発生します。審査期間も含めると、想定以上に日数がかかることを見込んでおきましょう。入社予定日から逆算して、余裕を持ったスケジュールを組むのがおすすめです。
在留期限切れ・更新のタイミングに注意
特定活動は、活動内容によって在留期間がバラバラです。6か月など短い期間で設定されるケースもありますし、更新回数に上限があるもの(就職活動のための特定活動など)や、そもそも更新が認められないもの(ワーキング・ホリデーなど)もあります。
「更新できるだろう」と思っていたら実は上限に達していた、というのは避けたいところ。採用時には在留期限とあわせて、その後どうなるのかまで確認しておくと安心です。
指定された範囲を超えた活動に注意
これは繰り返しになりますが、いちばん見落としやすいポイントです。
採用時点では問題なくても、その後の配置転換や業務内容の変更で、指定された範囲を超えてしまうことがあります。特に46号のように業務内容に条件があるケースでは、単純作業ばかりを任せる形になっていないか、定期的に見直す必要があります。
範囲を超えた就労は、本人の在留資格にも企業側にも影響します。「入社したら終わり」ではなく、継続的な確認を仕組みにしておきましょう。
※外国人材の受け入れにあたっては、活用できる助成金制度もあります。あわせてチェックしてみてください。
迷ったら専門家に相談を
ここまで見てきたとおり、特定活動は制度が複雑で、同じケースがほとんどない在留資格です。
自社だけで判断しようとすると、どうしても見落としのリスクが残ります。少しでも判断に迷う部分があれば、行政書士など入管手続きに詳しい専門家に相談するのが結果的にいちばん安全ですし、時間の節約にもつながりますよ。
特定活動から他の在留資格へ変更できる?
「特定活動のままずっと日本にいられるの?」という疑問を持つ方も多いですよね。

特定活動は在留期間が短めに設定されるケースが多く、そのまま長期的に働き続けるのが難しい場合もあります。そこで実務でよくあるのが、他の在留資格への変更です。
就職が決まって「技術・人文知識・国際業務」へ変更するケース
いちばん多いのが、就職活動のための特定活動から「技術・人文知識・国際業務」へ変更するパターンです。
無事に内定が出たら、勤務先の企業と本人が必要書類を揃えて変更許可申請を行います。ポイントは、本人が大学等で学んだ内容と、実際の業務内容に関連性があるかどうか。ここが認められないと不許可になることもあります。
なお、卒業後すぐに就職できず特定活動で就職活動を続けていた方も、この流れで就労系の在留資格に移っていくのが一般的です。
「特定活動46号」へ変更するケース
日本の4年制大学や大学院を卒業していて、日本語能力試験N1(またはBJT480点以上)を持っている方であれば、特定活動46号という選択肢もあります。
こちらは学んだ内容と業務内容が直接結びついていなくてもよいため、「技術・人文知識・国際業務」では難しかった職種でも受け入れやすいのが特徴。ただし常勤であることが条件で、単純作業のみに従事させることはできません。
「特定技能」へ変更するケース
一定の要件を満たせば、特定技能への変更も可能です。
必要になるのは、分野ごとの技能試験と日本語試験への合格(技能実習2号を良好に修了した方などは免除されるケースもあります)。また、受け入れる企業側にも支援体制の整備など、満たすべき要件があります。
前の章でも触れたとおり、この移行の準備期間として特定活動(4か月・就労可)が認められることもありますよ。
なお、この試験免除は技能実習制度における取扱いです。2027年4月1日に施行される育成就労制度では、特定技能1号へ移行する際に技能検定3級等または特定技能1号評価試験と、日本語能力A2相当(N4など)の試験に合格することが必要になります。
変更が認められるかは個別判断
ここまで3つのパターンを紹介しましたが、大前提として、在留資格の変更は一律に認められるものではありません。
本人の学歴や職歴、実際の業務内容、企業側の体制など、さまざまな事情を踏まえて個別に審査されます。「条件に当てはまりそうだから大丈夫」と思い込まず、早めに準備を始めることが大切ですね。
また、変更の申請中は在留期限にも注意が必要です。審査には数か月かかることもあるため、期限ギリギリでの申請は避けましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、在留資格「特定活動」について、制度の概要から種類の全体像、代表的なケースごとの就労ルール、そして企業が確認すべきポイントまで解説してきました。
今回の重要なポイントをまとめると、以下のようになります。
- 特定活動は、法務大臣が一人ひとりに活動内容を指定する在留資格
- 種類は「法定特定活動」「告示特定活動」「告示外特定活動」の大きく3つに分かれる
- 告示特定活動は50種類以上あり、法務大臣の判断で増減するため最新情報の確認が大切
- 「特定活動=働ける」ではなく、フルタイム可・週28時間まで・就労不可の3パターンがある
- 就労の可否は在留カードでは分からず、パスポートに添付された「指定書」で確認する
- 確認を怠って雇用すると、企業側が不法就労助長罪に問われるおそれがある
- 名前の似た「特定技能」とは、制度の目的から異なる別の在留資格
特定活動は、在留資格の中でもとくに種類が多く、同じケースがほとんどない制度です。だからこそ、「在留カードに特定活動と書いてあるから大丈夫」ではなく、一人ひとりの指定内容を確認するという姿勢が何より大切になります。
とはいえ、確認すべきポイント自体はシンプルです。在留カードと指定書、そして資格外活動許可の有無。この3点を押さえておけば、大きなトラブルは防げますよ。
判断に迷う場面が出てきたときは、無理に自社だけで抱え込まず、行政書士など入管手続きに詳しい専門家に相談してみてくださいね。この記事が、外国人採用を進めるうえでの整理に役立てば嬉しいです!

