技能実習生は何年働ける?1号・2号・3号の期間と最長5年になる条件を解説

技能実習生の受け入れを考えたとき、まず気になるのが「結局、何年うちで働いてもらえるの?」というところですよね。

  • 技能実習生は最長何年まで日本にいられるの?
  • 3年って聞いたけど、5年じゃないの?
  • 1号・2号・3号って、そもそも何が違うの?
  • 実習が終わったら、必ず帰国しないといけない?
  • もっと長く働いてもらう方法はないの?

こんなふうに、調べれば調べるほど分からなくなってしまう…という方も多いのではないでしょうか。

しかも技能実習制度は2027年4月1日に育成就労制度へ移行することが決まっていて、今の制度の話と、これからの制度の話がごちゃ混ぜになりやすい状況なんです。

そこで今回は、技能実習生が何年働けるのかという基本から、1号・2号・3号それぞれの期間と移行条件、見落とされがちな一時帰国のルール、特定技能へ移行して最長10年働いてもらう方法、そして今後の育成就労制度との違いまで、まとめて分かりやすく解説していきます!

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技能実習生は何年働ける?結論は「最長5年」

技能実習制度で日本に滞在できる期間は、条件を満たして段階的に進んだ場合、最長5年です。

技能実習は「1号→2号→3号」という3つの段階に分かれていて、それぞれ在留できる期間が決まっています。

区分在留期間の目安位置づけ
技能実習1号原則1年以内入国後の最初の段階
技能実習2号原則2年以内2〜3年目にあたる段階
技能実習3号原則2年以内4〜5年目にあたる段階
合計最長5年段階的に移行した場合

「1年+2年+2年=5年」と考えると、イメージしやすいのではないでしょうか。

ただし、ここで注意していただきたいのが、この5年は「全員が自動的に働ける年数」ではないということです。

2号へ進むには技能検定などの試験に合格する必要がありますし、3号へ進むにはさらに厳しい条件が待っています。実際、受け入れの現場では3年で実習を終えて帰国するケースのほうが多いんです。

「5年働いてもらえる前提」で採用計画を立ててしまうと、あとから人員計画が崩れてしまうことにもなりかねません。まずは「最長5年、ただし条件つき」と押さえておきましょう。

技能実習1号の1年間は「まるまる働ける1年」ではない

もうひとつ、受け入れを検討している企業の方に知っておいてほしいポイントがあります。

それは、技能実習1号の1年間、すべてを現場で働いてもらえるわけではないということ。

入国後の技能実習生は、まず監理団体などが実施する講習を受けます。日本語や生活のルール、労働関係法令、安全衛生などを学ぶ期間ですね。この講習期間中は雇用関係が成立していないため、自社の現場で働いてもらうことはできません。

そのため、実際に技能実習として現場に立ってもらえるのは、1年からこの講習期間を差し引いた11か月前後というイメージになります。

「1年間フルで戦力になる」と見込んでいると、初年度の人員計画に思わぬズレが出てしまうので、ここは最初に押さえておきたいところです。

※講習の期間や実施時期は受け入れ方式(企業単独型・団体監理型)によって異なります。

技能実習1号・2号・3号の違いを一覧で整理

技能実習制度は、段階を追って技能を身につけていく仕組みになっています。1号・2号・3号それぞれに役割があり、次の段階へ進むための条件も異なります。

まずは全体像を表で確認してみましょう。

区分在留期間位置づけ次へ進むための主な条件
技能実習1号原則1年以内技能等を修得する段階技能検定基礎級(実技+学科)に合格/移行対象職種であること
技能実習2号原則2年以内技能等に習熟する段階技能検定3級相当(実技)に合格/3号対象職種であること/優良認定など
技能実習3号原則2年以内技能等に熟達する段階―

「修得→習熟→熟達」と、少しずつレベルアップしていくイメージですね。

ここで大事なのは、次の段階へは自動的に進めるわけではないということ。それぞれ試験があり、職種の制限もあります。

技能実習1号から2号へ移行する条件

1号から2号へ進むには、大きく分けて2つの条件があります。

ひとつは、従事している職種・作業が「移行対象職種」に含まれていること。技能実習の職種はすべてが2号に対応しているわけではなく、対象外だった場合は1年で帰国することになります。

もうひとつは、実習生本人が技能検定基礎級(実技試験+学科試験)に合格することです。

手続き面では、在留資格変更の申請を1号の在留期間が満了する前に済ませておく必要があります。試験に合格していても、書類の準備が間に合わず期限に間に合わない…というのは避けたいところですよね。監理団体と早めにスケジュールをすり合わせておきましょう。

技能実習2号から3号へ移行する条件

2号から3号への移行は、1号→2号よりもぐっとハードルが上がります。主な条件は以下の通りです。

  • 技能検定3級(随時3級)相当の実技試験に合格していること
  • 技能実習3号の対象職種・作業であること
  • 監理団体と実習実施者(受け入れ企業)の双方が「優良」と認定されていること
  • 過去に技能実習3号を利用していないこと
  • 2号修了後に1か月以上の一時帰国をすること(詳しくは次の章で解説します)

特に見落とされやすいのが、2号の対象職種でも3号には進めない職種・作業があるという点です。「2号に移行できたから3号も大丈夫だろう」と考えていると、思わぬところでつまずいてしまいます。

意外と高い「優良認定」のハードル

3号への移行でカギになるのが、優良認定です。

これは実習生本人の努力ではどうにもならない、企業側・監理団体側の条件。具体的には、以下のような項目が審査の対象になります。

  • 技能実習生の待遇や労働条件が適正か
  • 相談・支援の体制が整っているか
  • 法令違反や不正行為がないか
  • これまでの技能実習の実績はどうか
  • 実習計画に沿った指導が行われているか

監理団体についても、定期監査や指導体制がきちんと機能しているかがチェックされます。受け入れ企業と監理団体、どちらか一方でも優良と認められなければ3号への移行はできません。

書類審査に加えて実地調査もあるため、思い立ってすぐ取れるものではありません。「5年働いてもらいたい」と考えているなら、実習1年目の段階から日々の運用体制を整えておくことが大切です。

技能実習3号へ進むには一時帰国が必要

技能実習3号への移行で、意外と見落とされがちなのが一時帰国のルールです。

技能実習2号を修了した実習生が3号へ進む場合、原則として1か月以上、母国へ一時帰国する必要があります。これは任意ではなく、3号へ移行するための条件のひとつなんです。

「せっかく仕事に慣れてきたのに、1か月も現場を離れるの?」と思われるかもしれませんが、そもそも技能実習制度は日本で身につけた技能を母国へ持ち帰ってもらうことを目的とした制度。母国とのつながりを保つという意味でも、制度の趣旨に沿ったルールになっています。

一時帰国のタイミングは2パターン

一時帰国をいつ実施するかは、以下の2つから選ぶことになります。

パターンタイミング期間
① 3号の開始前技能実習2号の修了後、3号を始めるまでの間1か月以上
② 3号の開始後技能実習3号の開始から1年以内1か月以上1年未満

原則としては①の「3号開始前」に実施する形になりますが、やむを得ない事情がある場合は②のパターンで計画を立てることも可能です。

なお、一時帰国している期間は技能実習3号の実習期間にはカウントされません。「帰国している分、実習期間が削られてしまうのでは…」という心配は不要ですね。

企業が押さえておきたい3つの注意点

一時帰国は、受け入れ企業側にも影響のあるルールです。次の3点は事前に確認しておきましょう。

① 渡航費用は企業・監理団体の負担:一時帰国にかかる渡航費用は、実習実施者または監理団体が負担するものとされています。実習生本人に全額を自己負担させることはできません。あらかじめコストとして見込んでおく必要があります。

② 繁忙期と重ならないようスケジュール調整を:1か月以上、現場から1人抜けることになります。繁忙期と重なってしまうと、シフトや人員配置が一気に厳しくなってしまいますよね。帰国時期は早めに実習生本人・監理団体と共有し、業務に支障が出ないよう調整しておくと安心です。

③ 帰国が長期になる場合は再入国手続きに注意:帰国期間が3か月を超えるような場合は、再入国時の手続きや査証の取り直しが必要になるケースもあります。航空券の手配や在留資格の手続きは監理団体と連携しながら、余裕をもって進めましょう。

一時帰国は「お休み」というより、制度上の手続きの一工程としてスケジュールに組み込んでおくイメージが近いかもしれません。

なお、2027年4月に施行される育成就労制度では、一時帰国のルールは設けられていません。3年間の育成期間を通じて計画的に技能を習得する設計になっているためです。

職種によって働ける年数が変わる

「技能実習は最長5年」とお伝えしてきましたが、そもそも自社の職種が5年のコースに乗れるかどうか、という大前提があります。

技能実習の職種・作業には、次の段階へ移行できるものと、できないものがあるんです。ここを確認せずに受け入れを始めてしまうと、「3年働いてもらうつもりだったのに1年で帰国することになった…」ということにもなりかねません。

職種によって「1年・3年・5年」の3パターンに分かれる

自社の職種がどれに当てはまるかで、受け入れられる期間は大きく変わります。

職種の区分進める段階最長の実習期間
移行対象外の職種1号のみ最長1年
2号の移行対象職種1号+2号最長3年
3号の移行対象職種1号+2号+3号最長5年

ポイントは、2号に移行できても3号には移行できない職種・作業があるということ。「2号までいけたから3号も自動的にいけるはず」と思い込んでしまうのが、いちばん危ないパターンです。

移行対象職種・作業は告示で指定されており、その内容は随時更新されます。判断に迷ったときは、厚生労働省や外国人技能実習機構(OTIT)が公表している最新の一覧で必ず確認しましょう。

1年・3年で帰国する前提の職種はどう備える?

移行対象外の職種だからといって、外国人材の受け入れができないわけではありません。ただし、短期間を前提とした受け入れ体制に切り替える必要があります。

  • 業務を標準化して早期に戦力化する:実習期間が短いほど、教える時間も限られます。作業手順をできるだけシンプルにしてマニュアル化しておけば、短期間でも現場に立ってもらいやすくなります。動画マニュアルなども有効ですね。
  • 採用・教育コストの回収計画を立てる:毎年のように採用と教育を繰り返すことになるため、1人あたりのコストと回収見込みを事前に試算しておきましょう。
  • 特定技能など別ルートも検討する:「長く働いてもらいたい」という目的が強いのであれば、そもそも技能実習ではなく特定技能での受け入れが適しているケースもあります。制度を選び直すという発想も大切です。

自社の職種がどの区分に当たるのかは、受け入れを検討するいちばん最初の段階で確認しておきたいポイントです。

技能実習の流れをステップで確認

ここまで1号・2号・3号それぞれの条件を見てきましたが、「結局、全体としてどう進んでいくの?」というところを整理しておきましょう。

技能実習は、入国から帰国まで7つのステップで進んでいきます。

ステップ内容
① 入国・講習日本語や生活ルール、法令などを学ぶ(この間は雇用関係なし)
② 技能実習1号基礎的な技能を修得する段階(原則1年以内)
③ 技能検定 基礎級実技・学科の試験に合格すれば2号へ
④ 技能実習2号実践的な業務で技能に習熟する段階(原則2年以内)
⑤ 技能検定3級相当+一時帰国実技試験に合格し、1か月以上の一時帰国を実施
⑥ 技能実習3号より高度な技能に熟達する段階(原則2年以内)
⑦ 帰国/別制度へ移行原則は帰国。条件を満たせば特定技能などへ

こうして並べてみると、試験のタイミングが2回あることがよく分かりますよね。しかも、どちらも合格できなければその時点で実習は終了となり、原則帰国することになります。

だからこそ、企業側にも試験に向けたフォローが求められます。過去問を使った勉強会を開いたり、実技の模擬練習の時間をつくったり。「試験は本人の頑張り次第」と任せきりにしてしまうと、せっかく育てた人材が1年や3年で帰国することになってしまいます。

また、それぞれの段階で在留資格の変更手続きが発生する点にも注意が必要です。

試験に合格していても、書類の準備や申請が期限に間に合わなければ移行できません。監理団体と連携しながら、余裕をもったスケジュールで進めていきましょう。

なお、この流れはあくまですべての条件を満たして進んだ場合のものです。職種や試験の結果、受け入れ体制によっては、途中の段階で実習が終わることもあります。

技能実習後に特定技能へ移行すれば最長10年働ける

「技能実習は最長5年」とお伝えしてきましたが、実はその先があります。

技能実習を修了したあと、在留資格を「特定技能」へ切り替えることで、さらに長く日本で働いてもらえるんです。

特定技能とは、人手不足が深刻な産業分野で、一定の技能を持つ外国人材を受け入れるための在留資格です。技能実習が「技能移転による国際貢献」を目的としているのに対して、特定技能は人材不足を補うことが目的。つまり、即戦力として働いてもらうための制度なんですね。

※技能実習と特定技能は、目的も仕組みも大きく異なる制度です。制度そのものの違いを詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

在留期間は最長8年・10年になる

技能実習と特定技能を組み合わせると、在留できる期間はこう変わります。

ルート在留可能期間
技能実習1号+2号最長3年
技能実習1号+2号+3号最長5年
技能実習2号修了後 → 特定技能1号最長8年
技能実習3号修了後 → 特定技能1号最長10年

特定技能1号は、更新を重ねながら通算5年まで在留が認められています。技能実習の5年と合わせて、最長10年というわけですね。

さらに、分野によっては特定技能2号への移行も可能です。特定技能2号には在留期間の更新回数に上限がなく、要件を満たしている限り働き続けられます。条件を満たせば家族の帯同も認められるため、長期的なキャリア形成という点でも大きな違いがあります。

※特定技能2号は在留期間の上限がなく、家族の帯同も認められる在留資格です。対象分野や取得条件については、以下の記事で詳しく解説しています。

技能実習を良好に修了していれば試験が免除される

特定技能1号を取得するには、通常は技能試験と日本語試験への合格が必要です。

ただし、技能実習2号または3号を良好に修了している場合、これらの試験が免除されるケースがあります。すでに日本で数年間働き、業務も日本語も身につけている人材が、試験のプレッシャーなしでそのまま働き続けられるのは大きなメリットですよね。

ただし、どんな職種からでも移行できるわけではありません。技能実習で従事していた職種・作業と、特定技能で従事する分野に関連性が認められることが条件です。まったく異なる分野へ移りたい場合は、あらためて試験の受験が必要になることもあります。

手続きは在留期限の3〜4か月前から準備を

特定技能への切り替えは、技能実習の在留期限が切れる前に手続きを終える必要があります。大まかな流れは以下の通りです。

  1. 受け入れ機関との特定技能雇用契約を締結
  2. 1号特定技能外国人支援計画の策定(登録支援機関への委託も可能)
  3. 出入国在留管理局へ在留資格変更許可を申請
  4. 許可・新しい在留カードの交付

申請から許可までは1〜3か月程度かかります。そのため、在留期限の3〜4か月前を目安に動き出しておくと安心です。

なお、適切に申請さえしていれば、審査中も就労を継続できる扱いになります。とはいえギリギリの申請は避けたいところ。「技能実習の期間が終わってから考える」ではなく、修了の半年ほど前から準備を始めるイメージで進めましょう。

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技能実習終了後は必ず帰国しないといけない?

「技能実習が終わったら、必ず母国へ帰らないといけないの?」

これも多く寄せられる疑問のひとつですよね。

結論からお伝えすると、技能実習制度としては帰国が原則です。ただし、「絶対に帰国しなければならない」というわけではありません。

そもそも技能実習は、日本で身につけた技能を母国へ持ち帰り、その国の産業発展に役立ててもらうことを目的とした制度。だからこそ、実習を修了したら帰国するという流れが制度の前提になっています。

とはいえ、実際には条件を満たすことで日本に残り、働き続けられるケースもあるんです。

実習修了後の主な進路は3パターン

技能実習を修了した実習生の進路は、大きく次の3つに分かれます。

進路内容
帰国する制度上の原則。修得した技能を母国で活かす
特定技能へ移行する2号・3号を良好に修了していれば、条件を満たすことで移行できる場合がある
その他の在留資格へ変更する個別の事情によっては、別の在留資格に変更できる場合もある

なかでも現実的な選択肢としていちばん多いのが、特定技能への移行です。同じ会社でそのまま働き続けられるケースも多く、実際に「特定技能への移行を前提に技能実習生を受け入れる」という企業も増えています。

※なお、個別事情によっては「特定活動」など別の在留資格が関係するケースもあります。

「残れる前提」で考えるのは危険

ただし、注意しておきたいのは、誰でも自由に日本に残れるわけではないということ。

  • 特定技能へ移行できるのは、原則として技能実習2号または3号を良好に修了した人
  • 技能実習で従事していた業務と、移行先の分野に関連性が必要
  • 在留資格の変更には審査があり、申請すれば必ず通るものではない
  • その他の在留資格への変更は、個別事情による判断になる

つまり、「実習が終わっても、どうにかして残ってもらえばいい」という考え方は通用しません。

長く働いてもらいたいのであれば、実習を始める段階から特定技能への移行を視野に入れて、対象分野かどうかを確認しておくこと。そして日々の実習を「良好に修了」できるようサポートしていくことが、いちばんの近道になります。

技能実習制度は廃止される?育成就労制度との違い

「技能実習制度が廃止されるって聞いたけど、今から受け入れても大丈夫…?」

こうした不安の声も、最近とても増えています。

結論からお伝えすると、技能実習制度は現在も運用中の制度です。ただし2027年4月1日に、「育成就労制度」という新しい制度へ移行することが決まっています。施行日は2025年12月に公布された政令で正式に決定しており、「今後の検討事項」ではありません。

とはいえ、施行日を境に一斉に切り替わるわけではありません。2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請がなされ、2027年6月30日までに実習を開始する人については、現行の技能実習制度のまま実習を継続できます。施行日時点で1号の人は2号へ、2号を1年以上経過した人は3号への移行も可能です。

そのため、施行後しばらくは技能実習生と育成就労外国人が併存する期間が続きます。

技能実習制度と育成就労制度の違い

新しい育成就労制度は、技能実習制度とは目的そのものが変わります。

技能実習が「技能移転による国際貢献」を掲げていたのに対して、育成就労制度は人材の育成と確保を正面から目的に据えた制度。実態に合わせて、制度の建付けが見直されるかたちです。

主な違いを整理すると、次のようになります。

項目技能実習制度育成就労制度
目的技能移転による国際貢献人材育成と人材確保
在留期間最長5年原則3年
対象範囲94職種171作業育成就労産業分野(17分野)
転籍原則不可分野ごとに1〜2年経過で本人希望も可能
日本語能力原則として要件なし就労開始までにA1相当(N5レベル)
一時帰国3号移行時に必要不要

転籍が可能になるまでの期間は分野ごとに設定されており、介護・建設・工業製品製造業などは2年、宿泊・農業・漁業などは1年です。自社の分野がどちらなのかを把握したうえで、定着策を考えておく必要があります。

期間が「5年→3年」に短くなるって本当?

表を見ると在留期間が短くなっているように見えますが、これは制度の設計思想が変わったためです。

育成就労は、特定技能1号へ移行することを前提とした「育成期間」という位置づけ。3年で人材を育て、その後は特定技能へバトンタッチする、という流れが想定されています。

そのため、育成就労の3年+特定技能1号の5年で、通算最長10年という道筋自体は変わりません。

ただし、注意点もあります。

育成就労から特定技能1号へ移行するには、技能検定3級等または特定技能1号評価試験と、日本語能力A2相当(日本語能力試験N4など)の試験に合格することが必要です。技能実習のような試験免除は設けられません。しかも、受入企業には外国人に受験させる義務があります。

なお試験に不合格となった場合でも、同じ受入機関で就労を続けることを条件に、再受験に必要な範囲で最長1年の在留継続が認められます。

企業が今から準備しておきたいこと

施行は2027年4月1日ですが、準備の期限はもっと手前にあります。監理支援機関の許可申請は2026年4月15日から、育成就労計画の認定申請は2026年9月1日から受付が始まっています。また、現行制度で技能実習計画の認定申請を行う場合は2027年2月までが期限です。

「2027年になってから考えよう」では間に合いません。制度の切り替えを前に、受け入れ企業ができることは大きく2つあります。

① 労働環境・待遇の見直し:育成就労制度では、一定の条件を満たせば本人の意思による転籍が可能になります。裏を返せば、「ここで働きたい」と思ってもらえない職場からは人材が離れていくということ。労働時間や給与、相談体制、生活面のサポートなど、選ばれる職場づくりが重要になります。

② 教育体制の整備:試験合格が移行の条件になる以上、業務マニュアルの整備や動画教材の活用、定期的な技能チェックなど、スキルアップを支える仕組みが欠かせません。キャリアの道筋を示すことも、定着につながります。

制度の詳細は今後も更新される可能性があります。出入国在留管理庁など公的機関の最新情報を、こまめに確認しておきましょう。

※育成就労制度の対象17分野や転籍の詳しい条件、企業が準備すべきことについては、以下の記事で詳しく解説しています。

受け入れ企業が押さえておきたい5つのポイント

ここまで制度の中身を見てきましたが、最後に受け入れ側の企業が実務で気をつけたいポイントを整理しておきましょう。

技能実習は「監理団体に任せておけば大丈夫」と思われがちですが、実際には企業側の対応が実習期間を左右する場面がたくさんあります。

①在留期限と更新時期を管理する

まず基本になるのが、在留期限の管理です。

技能実習2号は1年ごとに更新手続きが必要ですし、1号から2号、2号から3号への移行にも、それぞれ申請の期限があります。試験に合格していても、手続きが間に合わなければ移行できません。

実習生ごとに在留期限を一覧化しておき、「いつ・何の手続きが必要か」を早めに把握しておきましょう。

②自社の職種が対象かどうかを事前に確認する

受け入れ前にいちばん最初に確認したいのが、自社の業務が2号・3号の移行対象職種に含まれているかです。

ここを確認しないまま受け入れを始めると、「3年働いてもらう予定が1年で終わってしまった」ということになりかねません。対象職種・作業の一覧は随時更新されるため、最新版で確認しておきましょう。

③試験対策のフォロー体制をつくる

移行のタイミングで実習生が試験に不合格になると、原則として帰国となってしまいます。

せっかく時間をかけて育てた人材を手放すことにならないよう、企業側でも過去問を使った勉強会を開いたり、実技の模擬練習の時間を設けたりと、日常的なサポートを組み込んでおきたいところです。

④優良認定の取得・維持に取り組む

3号への移行には、受け入れ企業と監理団体の双方が「優良」と認定されていることが必要です。

優良認定では、待遇や労働条件、相談・支援体制、法令遵守の状況、これまでの実績などが審査されます。書類審査だけでなく実地調査もあるため、直前になって慌てても間に合いません。

指導員・生活指導員の講習受講、相談窓口の設置など、日々の運営体制そのものが評価されると考えて、早い段階から整えていきましょう。

※技能実習生の受け入れには、監理団体だけでなく現地の送り出し機関も関わります。それぞれの役割の違いについては、以下の記事をご覧ください。

⑤制度変更の最新情報をキャッチアップする

技能実習制度は、育成就労制度への移行を控えて大きな転換期にあります。

対象分野や在留期間、転籍のルール、日本語要件など、これから変わっていく部分は少なくありません。過去の情報だけで判断せず、出入国在留管理庁や外国人技能実習機構(OTIT)などの公的機関が発信する最新情報を、定期的に確認しておくことをおすすめします。

※外国人材の受け入れや育成にあたっては、活用できる助成金が用意されている場合もあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、技能実習生が何年働けるのかという疑問について、1号・2号・3号それぞれの期間や移行条件、特定技能への移行、今後の育成就労制度まで詳しく解説してきました。

今回の重要なポイントをまとめると、以下のようになります。

  • 技能実習の在留期間は、条件を満たして段階的に移行した場合に最長5年
  • 内訳は「1号=原則1年以内」「2号=原則2年以内」「3号=原則2年以内」
  • 1号の1年間には講習期間が含まれるため、実際に現場で実習できるのは11か月前後
  • 2号・3号への移行には技能検定などの試験合格が必要で、全員が5年働けるわけではない
  • 3号への移行には企業・監理団体の優良認定と、1か月以上の一時帰国が必要
  • 職種によって最長期間は「1年・3年・5年」に分かれるため、受け入れ前の確認が必須
  • 技能実習修了後に特定技能1号へ移行すれば、通算で最長8年〜10年の就労も可能
  • 技能実習制度は2027年4月1日に育成就労制度へ移行するが、経過措置により一定の要件を満たす実習生は現行制度のまま実習を継続できる

「技能実習生は最長5年」という言葉だけを見ると、5年間しっかり働いてもらえるようなイメージを持ってしまいますよね。

でも実際には、職種・試験・受け入れ体制という3つの条件がそろって、はじめて5年になるのが技能実習制度です。ここを最初に理解しておくかどうかで、受け入れ計画の精度は大きく変わってきます。

そして、長く活躍してもらいたいと考えるのであれば、特定技能への移行まで見据えた受け入れ設計が欠かせません。実習が終わってから慌てるのではなく、受け入れを始める段階から先を描いておくことが、安定した人材確保につながります。

制度は今まさに移り変わっているタイミングです。最新情報をこまめにチェックしながら、自社に合った受け入れ体制を整えていきましょう!