2027年4月1日、技能実習制度に代わって育成就労制度がスタートします。
それにともなって、これまで技能実習生を受け入れてきた「監理団体」は、新たに「監理支援機関」として許可を取り直さなければなりません。そこで、
- 監理支援機関の許可要件を、もれなく確認しておきたい
- 今の監理団体の体制で、そのまま申請できるのか知りたい
- 申請の費用や必要書類、スケジュール感を把握しておきたい
こんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
今回は、監理支援機関の許可要件7つを一つずつ整理しながら、申請の流れ・必要書類・費用・スケジュールまで、まとめて解説していきます!
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監理支援機関とは?育成就労制度における役割
監理支援機関とは、育成就労制度において、外国人を受け入れる企業(育成就労実施者)を監理し、育成就労外国人の支援や保護を担う機関のことです。
根拠となるのは育成就労法第23条第1項。この事業を行おうとする法人は、あらかじめ主務大臣(出入国在留管理庁長官・厚生労働大臣)の許可を受けなければならないと定められています。
受入れ方式には「単独型」と「監理型」の2つがありますが、監理支援機関が関わるのは監理型のみ。海外に自社の拠点を持たない企業がほとんどですので、実際には多くの受入れで監理支援機関が必要になる、と考えていただいて大丈夫です。
※育成就労制度そのものの全体像については、こちらの記事で詳しく解説しています
監理支援機関が担う6つの業務
では、具体的にどんな業務を行うのでしょうか。
技能実習制度の監理団体と重なる部分も多いのですが、育成就労では「支援」の役割がぐっと厚くなっているのが特徴です。

とくに監査は、監理支援機関の業務の根幹にあたる部分。3か月に1回以上の頻度で実地監査を行い、その結果を監査報告書にまとめて機構へ提出する必要があります。
さらに、受入れから1年を超えるまでの間は、監査とは別に毎月1回以上の訪問指導も必須です。「監査と訪問指導は別物」というのは意外と混同されやすいので、ここは押さえておきたいポイントですね。
また、育成就労では本人の意向による転籍が認められるようになりました。外国人から転籍の申出があったときに、関係機関との連絡調整や情報提供を行うのも監理支援機関の役目になります。
職業紹介の許可がなくても斡旋できるのが特徴
監理支援機関には、もう一つ大きな特徴があります。
それは、職業安定法上の許可や届出がなくても、育成就労に限って職業紹介事業を行えるという点です(育成就労法第27条)。監理支援機関の許可を取れば、その中に職業紹介の機能が含まれている、というイメージですね。
ただし、あくまで「育成就労に限って」です。日本人の職業紹介や、育成就労外国人以外の紹介はできませんので、そこは注意しておきましょう。
なお、船員として働く外国人を扱う場合は、船員職業安定法上の許可を別途取得する必要があります。
「登録支援機関」とはまったく別の仕組み
「育成就労の登録支援機関」という言葉で検索される方もいらっしゃるのですが、実はこれ、制度上は正しい表現ではありません。
- 登録支援機関=特定技能制度の仕組み。特定技能外国人への支援業務を受託する
- 監理支援機関=育成就労制度の仕組み。受入れ企業の監理と外国人の支援・保護を行う
対象となる在留資格がそもそも違うんです。
また、登録支援機関は地方出入国在留管理局長への「登録」であるのに対し、監理支援機関は主務大臣による「許可」。ハードルの高さもまったく異なります。
実務の流れとしては、育成就労の3年間は監理支援機関が、特定技能1号へ移行した後は登録支援機関が関わると整理しておくと分かりやすいと思います!
※育成就労から特定技能へ進んだ先のキャリアパスは、こちらで整理しています。
技能実習の「監理団体」と何が違う?【比較表】
「監理団体が監理支援機関に名前を変えるだけでしょ?」
そう思われている方が実はけっこう多いのですが、中身を見ていくと、かなり別物に近い変わり方をしています。
まずは主な違いを一覧で確認してみましょう。
※そもそも技能実習と特定技能がどう違うのかは、こちらで比較しています。
一覧で見る9つの変更点
| 項目 | 監理団体(技能実習) | 監理支援機関(育成就労) |
|---|---|---|
| 根拠法 | 技能実習法 | 育成就労法 |
| 制度の目的 | 技能移転による国際貢献 | 人材の育成と確保 |
| 法人形態 | 非営利法人 | 非営利法人(同じ) |
| 外部監査 | 指定外部役員か外部監査人の選択制 | 外部監査人の設置が義務 |
| 外部監査人の資格 | 特に限定なし | 弁護士・社労士・行政書士等 |
| 職員配置 | 事業所ごとの規定 | 常勤2人以上+実施者8者・外国人40人あたり1人 |
| 実施者の数 | 1社のみでも可 | 原則2者以上 |
| 許可の有効期間 | 一般監理5年/特定監理3年 | 初回3年(更新時に5年もあり) |
| 主な役割 | 監理・指導が中心 | 監理・指導+生活支援+転籍支援 |
こうして並べてみると、「監理する」だけの機関から「支援する」機関へという方向転換がはっきり見えてきますよね。
とくに大きいのが外部監査人です。これまでは指定外部役員を置くという選択肢もありましたが、育成就労ではその選択肢がなくなり、外部監査人の設置に一本化されました。しかも就任できる人が士業等に限られ、氏名は公表されます。
「形式的な監査」を防ぎたい、という制度側の意図がかなりはっきりと表れている部分です。
優良監理団体でも自動移行はできません
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分かもしれません。
現在どれだけ優良な監理団体として実績を積んでいても、監理支援機関へ自動的に移行することはできません。
技能実習制度での実績は引き継がれず、すべての団体が一から新規で許可申請を行う必要があります。全国には約3,700の監理団体があるとされていますので、申請が集中して審査が長引く可能性も十分に考えられますよね。

さらに、許可の有効期間にも注意が必要です。初回は一律で3年。5年になるのは更新のタイミングで、しかも従前の期間に改善命令や業務停止命令を受けていないことが条件になります。
つまり、許可を取ったあとも違反ゼロの運営を続けられるかどうかが問われる仕組み、というわけですね。
監理支援機関の許可要件は「許可基準7つ」+「欠格事由なし」
ここからが本題です。
監理支援機関の許可を受けるためには、次の2つを両方満たしている必要があります。
- 育成就労法第25条第1項に定められた許可基準7つのすべてに適合していること
- 育成就労法第26条に定められた欠格事由のいずれにも該当しないこと
「要件を6つ満たしているから大丈夫」とはならず、すべてクリアして初めて許可が下りる仕組みです。

まずは全体像を押さえておきましょう。
【一覧表】許可基準7つ(育成就労法第25条第1項)
| # | 許可基準 | ポイント |
|---|---|---|
| ① | 本邦の営利を目的としない法人であること | 商工会議所、事業協同組合、公益社団法人など |
| ② | 監理支援事業を適正に遂行するに足りる能力があること | 実施者2者以上、常勤役職員2人以上、相談・緊急対応体制など |
| ③ | 健全に遂行するに足りる財産的基礎があること | 債務超過の状態にないこと |
| ④ | 個人情報を適正に管理し、秘密を守る措置を講じていること | 個人情報適正管理規程の整備 |
| ⑤ | 外部監査を行わせるための措置を講じていること | 外部監査人の設置が義務 |
| ⑥ | 送出機関と取次ぎに係る契約を締結していること | 取次ぎを受ける場合に限る |
| ⑦ | その他、監理支援事業を適正に遂行できる能力があること | 事業所の要件、中立性の確保など |
このうち②と⑦は、省令でさらに細かい基準が定められている部分です。ボリュームがあるので、後ほど個別に詳しく見ていきますね。
許可を取ったあとも基準を満たし続ける必要があります
見落とされがちなのですが、これらの基準は申請時にクリアすれば終わり、ではありません。
許可を受けて事業を行っている間に基準を満たさなくなった場合、許可の取消し対象になり得ます。たとえば「途中で債務超過に陥ってしまった」「常勤職員が退職して1人になってしまった」といったケースですね。
さらに、許可の有効期間を更新する際にも、あらためて基準を満たしていることを証明する書類の提出が求められます。
つまり、要件は「取るためのハードル」であると同時に「維持し続けるライン」でもあるということ。体制を組むときは、ぎりぎりを狙わず少し余裕を持たせておくのが安心ですね。
許可基準①:営利を目的としない法人であること
まず1つ目の要件は、法人形態です。
監理支援機関になれるのは、本邦の営利を目的としない法人に限られています。株式会社や合同会社といった営利法人は、そのままの形で申請することはできません。
これは技能実習の監理団体と同じ考え方ですが、育成就労では認められる法人の類型が省令ではっきり列挙されています。
認められる8つの法人形態

このうち、商工会議所・商工会・中小企業団体・農業協同組合・漁業協同組合の5つには条件がついています。監理支援を行う育成就労実施者が、その団体の会員または組合員であることが前提になるんです。
実務上、新たに監理支援機関を立ち上げる場合にもっともよく選ばれるのが、中小企業団体のなかの事業協同組合です。設立には事業主である発起人が4人以上必要で、認可申請から登記まで含めるとそれなりに時間がかかりますので、そこは織り込んでおきたいところですね。
8類型以外の法人が申請するには
一般社団法人や一般財団法人など、上の8つに当てはまらない法人でも、申請の道がまったくないわけではありません。
ただし、次の2つを両方立証する必要があります。
- 監理支援事業を行うことについて特別の理由があること
- 重要事項の決定と業務の監査を行う適切な機関を置いていること
このうち「特別の理由」については、かなり具体的な要件が示されています。過去3年以内に、①認定NPO法人・特例認定NPO法人として人材育成の支援に関する業務を行った実績、または②技能実習制度の監理団体として同様の業務を行った実績があること。しかも、その業務を通年で、かつ複数年度にわたって継続的に実施していることを、客観的な資料で示さなければなりません。
ハードルはかなり高い、というのが正直なところです。
株式会社が監理支援機関になりたい場合は?
「うちは株式会社だけど、どうにかならないの?」というご相談も多いのですが、営利法人が監理支援事業を受託するという形も認められていません。
現実的な選択肢としては、営利法人が主体となって新たに事業協同組合を設立し、その組合で許可申請を行うという方法になります。
なお、その場合も出資持分の割合など、特定の企業に支配されない仕組みが求められます。「実質的にグループ内の1社だけを監理する」ようなスキームは、そもそも実施者2者以上という別の要件(後述します)でも引っかかりますので、注意しておきましょう。
もうひとつ。定款や寄附行為に、育成就労外国人の受入れを事業として行う旨を明記しておくことも必要です。既存の法人が申請する場合、定款変更が間に合わずに慌てるケースが出てきそうな部分ですので、早めに確認しておくことをおすすめします!
許可基準②:監理支援事業を適正に遂行できる体制があること
2つ目は、体制面の要件です。ここが一番ボリュームがあり、つまずきやすいポイントでもあります。
省令では大きく4つの基準が定められていますので、順番に見ていきましょう。
監理支援を行う育成就労実施者が2者以上
まず、監理支援の対象となる育成就労実施者が原則2者以上であること。
技能実習では1社だけを監理する形も認められていましたが、育成就労ではこれが認められません。中立性・独立性を確保するための要件で、現在の監理団体のうち7%程度がこのケースに該当するといわれています。
新規申請の時点ではまだ監理支援が始まっていませんので、「許可後すみやかに2者以上になる見込み」であることを示せばOKです。ただし、会員・組合員等一覧表に受入れ予定の企業名や住所、代表者名、年間の受入れ人数、受入れ時期、分野・業務区分まで具体的に記載する必要があります。
そして、許可から1年以内に実際に予定どおり受け入れることも求められますので、名前だけ並べておけばいい、という話ではありません。
【早見表】必要な常勤役職員の人数
次が、人員配置の基準です。監理支援の実務に従事する常勤の役職員について、次の3つをすべて満たす必要があります。
- 2人以上いること
- 育成就労実施者の数 ÷ 8 を超えていること
- 育成就労外国人の数 ÷ 40 を超えていること
言葉だけだと分かりにくいので、表にしてみました。

たとえば実施者が4者、外国人が80人という場合。実施者の数だけ見れば2人で足りますが、外国人80人だと3人必要になりますので、多いほうの3人以上が求められます。
ここで注意していただきたいのが3点。
まず、実施者7者以下・外国人39人以下という小規模なスタートでも、2人は必ず必要だということ。計算結果が1未満でも2人が下限です。
次に、申請の時点で2人以上いなければならないという点。「事業開始までに増員します」は認められません。
そして、総務や経理と兼務すること自体はOKですが、専ら総務・経理だけを担当している人はカウントできません。監査・訪問指導・相談対応・入国後講習の事務などに実際に関わっている人が対象になります。
なお、この基準は事業所ごとではなく、機関全体で満たしていれば大丈夫です。
母国語での相談対応体制
3つ目は、育成就労外国人が十分に理解できる言語で相談できる体制の整備です。
具体的には、その言語を使える職員か通訳人を確保しておくこと。常勤配置が望ましいとされていますが、非常勤でも外部委託でも構いません。ただし、委託したとしても最終的に相談へ対応する責任は監理支援機関の役職員にあります。
もうひとつ大事なのが、夜間・休日も対応できる体制であること。相談は平日の日中だけに発生するとは限りませんので、緊急連絡先の共有やSNS・通話アプリの活用などが求められます。
ちなみに、受入れ企業や送出機関の職員を通訳人にするのは望ましくないとされています。中立的に相談を受けられる体制でなければ意味がない、ということですね。
緊急時に駆けつけられる距離にあること
4つ目が、育成就労外国人を保護するための体制です。
事業所から実施場所や外国人の居住地まで、通常の業務時間内に日帰りで往復できる位置関係にあることが目安とされています。何かあったときにすぐ駆けつけて対応し、戻ってこられるか、という考え方ですね。
離島など交通事情で日帰りが難しい場合は例外も認められますが、その場合は一時的な避難先の宿泊施設をあらかじめ確保しておくといった措置が必要になります。
いずれの場合でも、緊急時の連絡体制と保護の手順を示したマニュアルの整備は必須です。
「転籍者だけを対象にする」ことは認められない
最後に、意外と見落とされがちなポイントを。
育成就労は3年かけて人材を育てる制度ですので、転籍してきた人だけを対象に監理支援事業を行うことは認められていません。入国前の段階から一連の監理支援を行える能力が求められるためです。
申請の際には、取次ぎを予定している送出機関などを具体的に示して、「専ら転籍者のみを対象とするものではない」ことを立証する必要があります。
許可基準③〜④:財産的基礎と個人情報の管理
ここからは少しコンパクトに。3つ目と4つ目の要件をまとめて見ていきましょう。
債務超過の状態にないこと
財産的基礎については、省令でシンプルに定められています。直近の事業年度末の時点で債務超過の状態にないこと、これだけです。
監理支援機関は、外国人の帰国旅費を負担したり、受入れ企業が倒産したときの対応にあたったりと、いざというときにお金を出す立場でもあります。だからこそ、安定した財務基盤が求められているんですね。
もし直近の決算が債務超過だった場合でも、道が閉ざされるわけではありません。申請時に最新の月次試算表などを一緒に提出して、債務超過がすでに解消されていることを確認できれば、基準を満たしていると認められます。
提出するのは、直近2事業年度の貸借対照表・損益計算書、法人税の確定申告書の写しと納税証明書、そして預金通帳の写しなど。事業所の家賃や職員の給与がきちんと支払われているかも見られる部分です。
そして繰り返しになりますが、これは許可後も維持しなければならないライン。途中で債務超過に陥ると、指導や改善命令、最悪の場合は許可の取消し対象になります。
個人情報適正管理規程の整備
4つ目は、個人情報の管理です。
監理支援機関は、育成就労外国人の身分事項や労働条件、受入れ企業の情報など、保護の必要性が高い情報を日常的に扱うことになります。そのため、監理支援事業を行う事業所ごとに個人情報適正管理規程を作成し、その内容を実際に運用することが求められます。

規程に最低限盛り込むべき事項は、育成就労制度運用要領の別紙4に規程例として示されています。ゼロから作るのは大変ですので、こちらをベースに自団体の実情に合わせて整えていくのが現実的だと思います。
なお、この規程は後ほど出てくる「業務の運営に関する規程」と一体の書類にしても差し支えありません。
もうひとつ押さえておきたいのが、役職員の守秘義務です。業務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らしたり、盗用したりすることは法律で禁じられています。規程を作って終わりではなく、職員への教育まで含めて体制と考えておきましょう。
許可基準⑤:外部監査人の設置【最重要ポイント】
育成就労制度で新しくなった要件のなかで、もっともインパクトが大きいのがこの外部監査人です。
技能実習制度では「指定外部役員を置く」か「外部監査人を設置する」かを選べましたが、育成就労では外部監査人の設置に一本化され、義務になりました。
背景にあるのは、形だけの監査を防ぎたいという狙いです。監理支援機関は受入れ企業を監査する立場ですが、監理支援費をいただく相手でもあるため、どうしても中立性を保ちにくい側面があります。そこに外部の目を入れよう、というわけですね。
なお、外部監査人は個人でも法人でも就任できます。法人の場合は、実際に監査を指揮する「監査実施責任者」を役職員のなかから選ぶ形になります(複数人の選任も可能です)。
外部監査人になれる人・なれない人

まず、就任できるのは弁護士・社会保険労務士・行政書士(各法人も可)、または育成就労に関する知見を有する者です。
「知見を有する者」というのは、出入国や労働に関する法令について高度な知識・経験を持つ大学教授などのほか、外部監査人講習の実施機関として告示され、直近2事業年度のいずれかで年20回以上の講習実績がある機関が該当します。
そして、過去3年以内に告示で定められた外部監査人向けの講習を修了していることが必須です。ここは経過措置があり、施行前に技能実習制度の監理責任者等講習を受けた人も選任できるとされています。すでに受講済みの方が周りにいないか、一度確認してみるといいかもしれませんね。
一方で、なれない人の範囲もかなり広く設定されています。
- 監理支援を行う受入れ企業やその役職員(過去5年以内も含む)
- その人の配偶者・二親等以内の親族
- 申請者である監理支援機関自身の役職員(過去5年以内も含む)
- 他の監理支援機関やその役職員
- 取次ぎを受ける送出機関やその役職員(過去5年以内も含む)
このあたり、判断に迷いやすいポイントを2つだけ補足します。
ひとつは、受入れ企業と顧問契約を結んでいる弁護士はNGだという点。「社会生活において密接な関係を有する者」にあたるとされています。
一方で、監理支援機関自身と顧問契約を結んでいる弁護士は、それだけで直ちにNGにはなりません。ここは間違えやすいので気をつけたいところです。
もうひとつは、技能実習の監理団体で非常勤の指定外部役員だった人。監理事業の業務に携わっていなかった場合は、辞任から5年以内でも「役職員」には該当しないという整理になっています。
あと忘れがちなのが、外部監査人の氏名がインターネットで公表されることへの同意が必要だという点。就任をお願いする段階で、この点も伝えておきましょう。
外部監査人が行う監査の内容と頻度
就任してもらったら終わり、ではありません。実際に監査を行ってもらう必要があります。
求められるのは次の2つです。
- ①事業所ごとに3か月に1回以上の確認:責任役員と監理支援責任者から報告を受け、事業所の設備を確認し、帳簿書類を閲覧します。その結果を書面にまとめて監理支援機関へ提出してもらいます。
- ②事業所ごとに年1回以上の同行監査:監理支援機関が受入れ企業に対して行う監査に同行し、それが適正に実施されているかを確認します。こちらも結果を書面で提出してもらう形です。
「年1回以上」の数え方は、前回の同行監査日を起算日とした1年以内。たとえば初回が5月10日なら、次は翌年5月10日までに実施する必要があります。
これらの報告書は帳簿書類として事業所に備え付ける義務がありますので、受け取ったら保管まで含めて運用を整えておきましょう。
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許可基準⑥〜⑦:送出機関との契約とその他の遂行能力
残る2つの要件を見ていきましょう。⑦は「その他」という名前ですが、中身はかなり実務的で、見落とすと申請が止まってしまう部分も含まれています。
送出機関と取次ぎに係る契約を締結していること
海外の送出機関から求職の申込みの取次ぎを受ける場合、その送出機関との間で取次ぎに関する契約を締結していることが要件になります。相手となる送出機関は、省令の要件を満たしたところに限られます。
とくに重要なのが、所在国・地域の公的機関から推薦を受けていること。二国間取決めがある国の場合は、認定送出機関のリストに載っているかどうかを必ず確認しましょう。
そして、契約書に必ず書き込まなければならないことがあります。それは、その送出機関が保証金や違約金の徴収を行っていないことを確認した旨です。
外国人本人やその家族の財産を管理していないこと、契約不履行について違約金を定める契約をしていないこと。これを監理支援機関側が確認して、契約書に明記する必要があるんですね。
もちろん、監理支援機関自身が送出機関と違約金契約を結んだり、送出管理費のキックバックを受け取ったりすることも認められません。これは許可の取消し事由になり得ますので、契約内容は相手任せにせず、しっかり確認しておきましょう。
なお、あとから取次ぎを受ける送出機関を追加・変更する場合は、変更の届出が必要になります。
その他、事業を適正に遂行できる能力があること
7つ目は幅の広い要件ですが、実務上とくに押さえておきたいのが事業所そのものの要件です。ここ、意外と知られていません。

なかでも注意したいのが、受入れ企業から便宜供与を受けていないこと。受入れ企業やその関係者が所有する土地・建物に事業所を置くことはできませんし、そこから転借するのも(有償・無償を問わず)NGです。賃貸借契約の連帯保証人になってもらうのも認められません。
「組合員の会社の一室を事務所にしている」というケースは、監理団体時代からよくある形だと思います。移行にあたって見直しが必要になる可能性がありますので、早めに確認しておきたいところですね。
面積もポイントです。おおむね20㎡以上が求められますが、単に広さがあればいいわけではなく、実際に事業に使われている面積で判断されます。遊休スペースが多くて実質20㎡未満、というケースは要件を満たさないと判断されることがあります。
中立性の確保と、密接関係者の関与制限
もうひとつ、⑦に含まれる重要な考え方が中立性です。
監理支援機関の役職員のうち、受入れ企業と密接な関係を持つ人(その企業の役職員や過去5年以内に役職員だった人、その配偶者・二親等内の親族、グループ会社からの出向者など)は、その企業に対する監理支援業務に関わることができません。
関われるのは、個人情報の管理と入国後講習の実施だけ。監査や訪問指導はもちろん、上司として指示を出したり、決裁したり、助言したりするのも「関与」にあたります。
ですので、実務上は監理支援責任者を複数選任しておき、代理決裁できる体制を組んでおくのが安全です。もちろん、密接な関係のない他の受入れ企業に対する業務であれば、通常どおり従事できます。
そのほか、業務の運営に関する規程を整備してそれに沿って運営すること、送出機関の役員と監理支援機関の役員が同一人物でないことなども、この要件のなかで確認される内容です。
※送出機関の役割や費用の仕組みについては、こちらで詳しく解説しています。
許可を受けられない「欠格事由」とは
ここまで見てきた許可基準7つをすべて満たしていても、欠格事由に1つでも当てはまると許可は受けられません。
育成就労法第26条に定められているもので、「この法律を守ることが期待できない人には、そもそも監理支援事業をやらせない」という趣旨の規定です。

内容は多岐にわたりますが、大きく4つのグループに整理すると分かりやすいと思います。
期間はすべて「5年」が基準
欠格事由を見ていくとお気づきになると思いますが、ほとんどの項目で「5年を経過しない者」という区切りが使われています。
刑罰であれば、執行を終えた日または執行を受けることがなくなった日から5年。許可を取り消された場合は、取消しの日から5年。不正または著しく不当な行為をした場合も、その行為をした日から5年です。
ここで注意していただきたいのが、技能実習法で監理許可を取り消された場合も、育成就労の欠格事由に該当するという点。経過措置として、技能実習制度での処分がそのまま引き継がれる形になっています。
なお、執行猶予がついた場合は、取り消されることなく猶予期間を経過すれば、その時点で欠格事由から外れます。
「役員」の範囲は登記上の役員だけではありません
もうひとつ、実務で気をつけたいポイントを。
欠格事由の多くは「役員のうちに〜に該当する者があるもの」という形で書かれています。この「役員」の範囲がかなり広いんです。
登記されている取締役や理事だけでなく、相談役・顧問など名称を問わず、法人に対して役員と同等以上の支配力を持つと認められる人も対象になります。
「うちの役員は問題ないはず」と思っていても、実質的に経営に関わっている方がいる場合は、その方についても確認が必要です。申請前に、役員全員の住民票と履歴書をそろえる過程で洗い出しておきましょう。
「不正または著しく不当な行為」の中身
判断が難しいのが、「出入国又は労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為をした」というケースです。運用要領では、次のような例が示されています。
- 不法就労助長行為や、それを唆したり助けたりする行為
- 在留資格の許可を不正に受けさせる目的で、偽造・変造された文書を行使する行為
- 労働基準関係法令で送検され、刑罰が確定した場合
- 監理支援事業に関し不当に手数料を受け取る、名義貸しをするなど、悪質と認められる違反
労働基準関係法令の違反については、対象となった労働者が育成就労外国人かどうか、日本人か外国人かは関係ありません。過去に労基署の指導を受けたことがある場合は、その内容と時期を確認しておくと安心ですね。
監理支援責任者の選任要件も忘れずに
許可基準7つと欠格事由に加えて、もうひとつ準備しておかなければならないのが監理支援責任者です。
監理支援機関は、監理支援事業を行う事業所ごとに監理支援責任者を選任する必要があります(育成就労法第40条)。許可申請書にも氏名と住所を記載しますので、外部監査人と並んで早めに人選を決めておきたいポジションですね。
監理支援責任者が統括管理する6つの事項
監理支援責任者は、監理支援事業の統括責任者にあたる存在です。法律では、次の6つを統括管理する役割が定められています。

なお、これらをすべて自分ひとりで行う必要はありません。監理支援責任者の統括管理のもとで、他の役職員に業務の一端を担ってもらうことは認められています。
ただし、受入れ企業に対する監査は監理支援責任者の指揮のもとで行う必要がありますので、名前だけ置いておけばいい役職ではない、という点は押さえておきましょう。
選任するための3つの条件
監理支援責任者になれるのは、次の3つをすべて満たす人です。
- 監理支援機関の常勤の役員または職員であること
- その事業所に所属し、業務を適正に遂行する能力があること
- 過去3年以内に、告示で定められた監理支援責任者向けの講習を修了していること
外部監査人と同じく、講習には経過措置があります。施行前に技能実習制度の監理責任者等講習を受けた方も選任できますので、すでに受講済みの職員がいないか確認してみてください。
一方で、次の方は監理支援責任者になれません。
- 欠格事由に該当する人(拘禁刑以上の刑を受けて5年を経過していないなど)
- 選任日の前後5年以内に、出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為をした人
- 未成年者
複数選任が必要になるケースに注意
ここが実務上いちばん引っかかりやすいポイントです。
監理支援責任者が、その事業所で監理支援を行う受入れ企業の役職員(過去5年以内も含む)や、その配偶者・二親等以内の親族にあたる場合。この人はその企業に対する監理支援に関与できません。
つまり、別の監理支援責任者をもう一人選任しておく必要があるということです。
「組合の理事が、組合員企業の社長を兼ねている」という形は、監理団体では珍しくなかったと思います。移行にあたって体制の見直しが必要になるケースが出てきそうですので、早めに整理しておきましょう。
もうひとつ。事業所を複数持つ場合、同じ人を複数の事業所の監理支援責任者として選任することはできません。事業所の数だけ、要件を満たす人材が必要になります。
ただし、常勤する事業所での業務をきちんと行っていることが前提であれば、リモートワークなどで他の事業所の業務に一部従事すること自体は認められています。
監理支援機関の許可申請の流れ・必要書類・費用
要件を確認できたら、いよいよ申請です。ここは具体的な数字や手続きが多くなりますので、順番に整理していきますね。
申請から許可までの流れ
申請先は、法人がどこに所在していても外国人技能実習機構(OTIT)の本部審査課です。地方事務所では受け付けていませんので、間違えないようにしましょう。
流れは次のとおりです。
- 許可基準を満たす体制を整える(外部監査人の確保、定款変更など)
- 手数料・登録免許税を納付する
- 申請書と添付書類をそろえ、書留等で郵送する
- 機構による事実関係の調査を受ける
- 厚生労働大臣が労働政策審議会の意見を聴取
- 主務大臣が許可の可否を判断、許可証が交付される
調査を行うのは機構ですが、許可の権限は主務大臣にあります。機構の調査結果を踏まえて、最終的な判断が下される仕組みですね。
許可証は事業所ごとに交付されますが、事業所が複数あっても申請を分ける必要はありません。申請は1件で大丈夫です。
主な必要書類
申請書は正本1通(副本は不要)。添付書類も正本1通で、片面印刷が指定されています。提出した書類は返却されませんので、控えは必ず手元に残しておきましょう。
主な書類は次のとおりです。
| 区分 | 主な書類 |
|---|---|
| 申請書 | 監理支援機関許可申請書(省令様式第15号) |
| 事業計画 | 監理支援事業計画書(省令様式第16号/事業所ごとに作成) |
| 法人関係 | 登記事項証明書、定款または寄附行為、直近2事業年度の決算書類 |
| 体制関係 | 申請者の概要書、誓約書、役職員の業務体制、会員・組合員等一覧表 |
| 人事関係 | 役員の履歴書・住民票、監理支援責任者の就任承諾書等、育成就労計画作成指導者の履歴書 |
| 外部監査 | 外部監査人の就任承諾書及び誓約書並びに概要書 |
| 規程類 | 個人情報適正管理規程、業務の運営に係る規程、監理支援費表 |
| 送出機関 | 概要書、契約書の写し、公的機関からの推薦状 など |
事業計画書は事業所ごとに作成が必要ですので、複数ある場合はその数だけ用意することになります。
【一覧表】手数料・登録免許税と納付方法
ここ、意外とどこにも書かれていない部分なのですが、納付先が3つに分かれているのがポイントです。

事業所が1か所の場合、合計で106,600円(+システム利用料)。事業所が増えるとその分加算されていきます。
注意したいのは、一度納付した手数料は、申請を取り下げても還付されないという点(登録免許税を除く)。申請手数料の収入印紙は受理の時点で消印されてしまいますので、要件をしっかり確認してから納付に進みましょう。
調査手数料は、ペイジー払いか払込票払いのどちらかを選びます。ペイジーは440円、払込票は572円のシステム利用料が別途かかり、いずれも事前に番号の発行や払込票の取り寄せが必要です。ここで数日かかりますので、スケジュールに織り込んでおきたいですね。
登録免許税の納付先は麹町税務署(または日本銀行や歳入代理店)。納付書は最寄りの税務署で入手でき、領収印の入った領収証書の原本を申告書に貼って提出します。
許可の有効期間は3年、優良なら更新時に5年
無事に許可が下りたら、有効期間は初回は一律3年です。
5年になるのは更新のタイミングから。しかも、従前の有効期間中に改善命令や業務停止命令を受けていないことが条件になります。
なお、優良な監理支援機関の認定基準としては、傘下企業の日本語試験の合格率、機構の実地検査で法令違反の指摘がないこと、母国語相談体制の充実などが検討されています。ただし、施行日前申請や制度施行直後の段階では優良認定の受付は行われませんので、この点も押さえておきましょう。
更新申請は、有効期間が満了する日の3か月前まで。申請手数料4,400円×事業所数、調査手数料57,600円×事業所数がかかります。
申請スケジュール|いつまでに何をすればいい?
要件も費用も分かったところで、最後にいちばん大事な「いつまでに動くか」を確認しましょう。
結論からお伝えすると、すでにかなり差し迫った状況です。
施行日前申請の受付期間
育成就労制度の施行は2027年4月1日ですが、施行を待たずに許可申請を行える「施行日前申請」の仕組みが用意されています。
受付期間は、2026年4月15日から2027年3月31日まで。すでに受付は始まっています。
そして、申請は監理支援事業を開始する6か月以上前までに行う必要があります。2027年4月1日から事業を始めたいのであれば、逆算すると2026年9月30日がひとつのラインになる、というわけですね。
実際、機構からも「施行日以降早期に監理支援事業を行うことを希望する場合には、2026年9月30日までに申請してください」という案内が出ています。

ただし、ここで一点だけ正確にお伝えしておきたいことがあります。
この日までに申請したからといって、2027年4月1日の許可が確約されるわけではありません。書類に不備があれば当然そこで止まりますので、提出書類一覧・確認表を使って、抜け漏れがないか丁寧にチェックしてから提出しましょう。
申請が集中する可能性を見込んでおく
全国には約3,700の監理団体があるとされています。そのすべてが新規で申請することになりますので、受付期間中に申請が集中することは十分に予想されますよね。
審査期間は公表されていませんが、機構側の処理能力にも限りがあります。「期限ぎりぎりに出せばなんとかなる」という考え方は、今回はかなり危ないと思っておいたほうがよさそうです。
なお、技能実習制度の監理団体として新規に許可申請をする場合の期限も、2026年9月30日とされています。こちらもあわせて確認しておきましょう。
逆算スケジュールと準備の進め方
申請までにやるべきことは、書類を書くだけではありません。体制を整えるところから始める必要があります。
とくに時間がかかりやすいのは、次の4つです。
- ①外部監査人の確保:士業の方に依頼し、講習を受講してもらう必要があります。まだ受講していない場合、講習の開催日程しだいで数か月かかることも。まず最初に着手すべき項目です。
- ②常勤役職員の増員:申請時点で2人以上いなければならないため、採用が必要なら早急に動く必要があります。
- ③定款の変更:育成就労外国人の受入れを事業として行う旨を明記しておく必要があります。総会の開催が必要になるケースもありますので、スケジュールを確認しておきましょう。
- ④事業所の見直し:受入れ企業の所有物件に入っている、面積が足りないといった場合、移転が必要になることもあります。
これらを並行して進めながら、規程の整備、送出機関との契約、そして書類作成へ。手数料の納付にも数日かかりますので、そこまで含めて逆算しておきたいですね。
「制度が始まる前に考えよう」では、正直まったく間に合わない工程です。今の体制で要件を満たせるのかどうか、まずはそこの確認から始めてみてください!
事業協同組合から新規に立ち上げる場合の流れ
ここまでは「すでにある法人が申請する」前提でお話ししてきましたが、これから新規に監理支援機関を立ち上げたいという方も多いと思います。
その場合、まず必要になるのが法人そのものを作ること。監理支援機関になれるのは非営利法人に限られますので、実務上もっとも選ばれるのが事業協同組合の設立です。

ただし、ここで知っておいていただきたいのは、設立から許可取得まで、かなりの時間がかかるということ。順番に見ていきましょう。
ステップ1:事業協同組合の設立認可申請
事業協同組合をつくるには、まず発起人が4人以上必要です。発起人は法人または個人事業主である事業主に限られ、資本金額や従業員数の基準もあります。
発起人がそろったら発起人会を開き、定款案・事業計画・収支予算書の作成、代表発起人の選出など、運営の土台となる事項を決めていきます。その後、創立総会で定款や事業計画を確定させ、理事・監事を選出します。
ここでの決めごとがあとあと効いてきますので、発起人全員でしっかり認識をすり合わせておきたいところですね。
そして、所轄の行政庁へ設立認可申請。認可が下りるまでに3〜4か月程度かかるのが一般的です。
なお、定款には育成就労外国人の受入れを事業として行う旨を明記しておきましょう。あとから変更するとなると、また総会が必要になってしまいます。
ステップ2:設立登記
認可を受けたら、出資者がそれぞれ出資金を払い込みます。払込みがあった日から2週間以内に、管轄の法務局で設立登記を行う必要があります。
期限が短いので、事前に必要書類と管轄法務局を確認しておくとスムーズです。
ステップ3:監理支援機関の許可申請
登記が完了して、はじめて許可申請ができる状態になります。
ここから、これまで見てきた許可基準を満たす体制を整えていくことになります。とはいえ、外部監査人の確保や常勤役職員の採用は組合設立と並行して進められる部分ですので、待っている必要はありません。
全体でどのくらいかかる?
設立認可に3〜4か月、登記、そして許可申請と審査。すべてを終えるまでに1年程度を見込んでおくのが現実的といわれています。
ここで思い出していただきたいのが、前のセクションでお伝えしたスケジュールです。施行日前申請の受付は2027年3月31日まで。新規で立ち上げる場合、逆算するとかなりタイトになりますよね。
「制度が始まってから考えよう」では間に合わない、というのは、新規参入の場合はなおさら当てはまります。
なお、決算期を一度も迎えていない法人でも申請自体は可能です。その場合は、法人成立時の貸借対照表や入出金の履歴が確認できる書類を提出することになります。
分野別に上乗せ基準がある5分野に注意
最後に、意外と知られていない要件をひとつ。
育成就労制度では、制度全体の適正化を主務大臣が担う一方で、それぞれの分野に詳しい所管省庁が、分野特有の事情をふまえた独自の基準を告示で定める仕組みになっています。
つまり、ここまで見てきた許可基準にさらに上乗せされる条件がある分野が存在するということです。
上乗せ基準が定められている5分野

現時点で上乗せ基準が示されているのは、介護・工業製品製造業・自動車整備・物流倉庫・漁業の5分野です。
上乗せの対象になり得るのは、主に次のような部分です。
- 監理支援機関になれる法人形態
- 監理支援事業を遂行する能力(常勤役職員の人数基準の代替要件など)
- 受入れ企業に対する監査の方法
- 事業所に備え置く帳簿書類
たとえば人員配置の基準についても、分野によっては代替となる要件が定められる場合があります。「全国一律のルールだけを見ていれば大丈夫」とは言えない、ということですね。
許可条件として許可証に記載されます
上乗せ基準がある分野を扱う場合、その基準を満たしていることを主務大臣が確認したうえで許可が下りる形になります。
そして、その内容は許可の条件として許可証に記載されます。記載事項が長くなる場合は、別紙で条件が示されることもあります。
許可条件に違反した場合は、許可の取消しなどの対象になり得ますので、自団体の許可証に何が書かれているかは、取得後もきちんと把握しておきたいところです。
あとから分野を追加したいときは
「まずは対応できる分野から始めて、あとから広げたい」というケースもありますよね。
その場合、新たに上乗せ基準のある分野の育成就労を扱おうとするときは、監理支援機関許可条件変更申出書(参考様式第2-8号)を提出する必要があります。分野特有の要件を満たしていることを示す確認書類も一緒に提出します。
逆に、途中でその分野の基準を満たさなくなってしまった場合も、同じく条件変更の手続きが必要です。
まずは自団体の分野を確認しましょう
育成就労産業分野は全17分野。そのうち5分野に上乗せ基準がある、という状況です。
告示や分野別の運用要領は今も順次公表されている段階ですので、自団体が扱おうとしている分野の最新情報は、機構や出入国在留管理庁のサイトで直接確認するのが確実です。
古い解説記事だけを見て判断してしまうと、申請の直前になって「要件がもう一つあった」と気づくことにもなりかねません。ここは面倒でも一次情報にあたっておきましょう!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
監理支援機関の許可要件について、法人形態から外部監査人、申請の流れ・費用・スケジュールまで詳しく解説してきました。
この記事の要点をまとめると、次のようになります。
- 監理支援機関の許可には、許可基準7つすべてへの適合と欠格事由に該当しないことの両方が必要
- 技能実習の監理団体からの自動移行はなく、優良認定を受けていても新規申請が必須
- 認められる法人形態は非営利法人の8類型が原則で、株式会社などの営利法人は対象外
- 常勤役職員は2人以上。加えて実施者数÷8、外国人数÷40を超える人数が必要
- 外部監査人の設置が義務化され、士業等かつ過去3年以内の講習修了が条件
- 事業所にはおおむね20㎡以上・独立性・便宜供与を受けていないなどの要件もある
- 申請費用は事業所1か所で合計106,600円。納付先が3つに分かれる点に注意
- 施行日前申請の受付は2027年3月31日まで。早期に事業を始めたいなら2026年9月30日が目安
こうして並べてみると、「名前が変わるだけ」ではないことがよく分かりますよね。
とくに外部監査人の確保と常勤役職員の体制づくりは、思い立ってすぐに整うものではありません。講習の受講時期や採用のリードタイムを考えると、今の時点で動き始めていても決して早すぎることはないと思います。
まずは、今の体制で要件を満たせるのかどうか。ここを一度棚卸ししてみるところから始めてみてください。足りない部分が見えれば、そこから逆算して準備を進められます。
外国人材の受入れをこれからも続けていくために、この記事が少しでもお役に立てば嬉しいです!

