育成就労の受け入れ人数の上限は?常勤職員数別の人数枠を一覧表でわかりやすく解説

2027年4月からスタートする育成就労制度。技能実習に代わる新しい仕組みとして、準備を始めている企業も増えてきましたよね。

ただ、いざ採用計画を立てようとすると「そもそも、うちは何人まで受け入れられるんだろう?」というところで手が止まってしまう…という方も多いのではないでしょうか?

  • 自社の受け入れ人数の上限が何人になるのか知りたい
  • 技能実習のときと比べて、枠は増えるの?減るの?
  • ニュースで見た「123万人」って、うちの会社と関係あるの?

こうしたお悩みを解決します!

実は育成就労の「上限」には、企業ごとの上限と、国全体の上限の2種類があるんです。ここが混ざったまま調べていると、なかなかスッキリしないんですよね…。

今回は、常勤職員数別の受け入れ人数枠を一覧表で整理しつつ、枠が2倍・3倍になる条件、計算するときの落とし穴、そして国全体の分野別上限まで、まとめてわかりやすく解説していきます!

※育成就労制度そのものの全体像については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

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育成就労の受け入れ人数の「上限」は2種類

育成就労について調べていると、「42万6,200人」「123万人」といった大きな数字と、「常勤職員数に応じた人数枠」という会社単位の話が、同時に出てきますよね。

これ、どちらか一方が正しいわけではなく、まったく別のレイヤーの上限が2つ存在しているんです。ここを切り分けておくと、この先の話がぐっとわかりやすくなりますよ。

①企業ごとの上限=受入れ人数枠

1つ目は、受け入れる企業(育成就労実施者)ごとに決められている上限です。制度上は「受入れ人数枠」と呼ばれています。

これは常勤職員数を基準に決まるもので、優良認定を受けているか、会社の所在地が地方(指定区域)かどうかによって、基本の枠から2倍・3倍に広がる仕組みになっています。

企業の担当者さんが「うちは何人まで?」と気にされているのは、ほぼこちらのこと。この記事でも、まずはここを重点的に解説していきますね。

②国全体の上限=分野別の受入れ見込数

2つ目は、国が分野ごとに設定している上限です。こちらは「受入れ見込数(受入れ上限数)」といいます。

2026年1月23日に閣議決定された分野別運用方針で、育成就労は2027・2028年度の2年間で42万6,200人と決まりました。特定技能1号の80万5,700人と合わせると、約123万人という数字になります。

ニュースで見かける「123万人」はこちらの話で、自社の枠とは直接関係ありません。ただし、自社の枠に余裕があっても、分野の枠が埋まってしまえば新しく受け入れることはできません。ここは意外と見落とされがちなポイントなんです。

育成就労制度には期間にも上限がある

人数の話とは別に、育成就労は原則3年という期間の上限もあります。技能実習のような1号〜3号の区分はなく、最初から3年分の育成就労計画をつくって認定を受ける流れです。

「上限」という言葉が出てきたら、〈人数(会社)〉〈人数(国)〉〈期間〉のどれを指しているのか、意識して読み分けてみてくださいね。

【一覧表】常勤職員数別の受け入れ人数枠(監理型育成就労)

ここからは、多くの企業が利用することになる「監理型育成就労」の人数枠を見ていきましょう。

監理型は、監理支援機関があっせんや監理・支援を担う受け入れ形態で、技能実習でいう団体監理型に近いイメージです。人数枠は、①一般/②優良/③地方+優良の3パターンに分かれています。

常勤職員数別の受け入れ人数枠

常勤職員の総数①一般(基本人数枠)②優良な実施者③指定区域+優良
301人以上常勤職員数の20分の3(15%)10分の3(30%)20分の9(45%)
201〜300人45人90人135人
101〜200人30人60人90人
51〜100人18人36人54人
41〜50人15人30人45人
31〜40人12人24人36人
9〜30人9人18人27人
8人9人18人24人
7人9人18人21人
6人9人18人19人
5人9人15人16人
4人9人12人13人
3人9人10人11人
2人6人7人8人
1人3人4人5人

たとえば常勤職員が100人の企業なら、一般枠は18人。優良認定を受けていれば36人、さらに地方の要件も満たせば54人まで広がります。

常勤職員が8人以下の場合は倍率が変わる

ここ、ぜひ気をつけていただきたいところなんです。

「優良なら2倍、地方+優良なら3倍」という説明をよく見かけますが、常勤職員が8人以下の区分では、この倍率がそのまま当てはまりません

表を見ていただくとわかるように、たとえば常勤3人の企業は一般枠9人に対して優良枠が10人、地方+優良でも11人。単純に18人・27人にはならないんですね。

小規模な企業ほど、倍率ではなく表の実数をそのまま確認するのが確実です!

なお、この枠は「1年目〜3年目の合計」に対する上限です。毎年この人数を新しく受け入れられるという意味ではないので、こちらもあわせて覚えておいてくださいね。

受け入れ人数枠が2倍・3倍になる条件

同じ会社規模でも、条件次第で受け入れられる人数が2倍・3倍に変わる——これ、採用計画を考えるうえでかなり大きいですよね。

どんな条件で枠が広がるのか、順番に見ていきましょう。

優良な育成就労実施者と認められると2倍

まず1段階目が、受け入れ企業自身が「優良な育成就労実施者」と認められるパターンです。この場合、基本人数枠が2倍になります。

優良かどうかの判断では、次のような点が総合的に評価されます。

  • 技能・日本語能力の修得に係る実績
  • 育成就労を行わせる体制
  • 育成就労外国人の待遇
  • 法令違反や行方不明者の発生状況
  • 相談対応など、保護・支援の体制と実施状況
  • 地域社会との共生に向けた取り組み

ただし、具体的な認定基準はまだ公表されていません。運用要領の中で追って示される予定とされているので、優良枠を前提に計画を組む場合は、最新の公表情報をチェックしておく必要があります。

指定区域+優良な監理支援機関なら3倍

2段階目が、地方への配慮として設けられている拡大枠です。次の3つをすべて満たすと、基本人数枠が3倍になります。

  1. 受け入れ企業が優良な育成就労実施者であること
  2. 優良な監理支援機関の監理支援を受けていること
  3. 企業の本店所在地が指定区域(地方)にあること

つまり、地方の企業であっても、契約している監理支援機関が優良でなければ3倍枠は使えません。監理支援機関選びが、そのまま自社の枠の大きさに直結するというわけですね。

※監理支援機関の選び方が、そのまま自社の枠の大きさに直結します。許可要件や申請スケジュールについては、以下の記事をご覧ください。

「指定区域(地方)」に該当する地域

指定区域は、育成就労外国人が大都市圏に集中しないよう、告示で定められた地域です。

東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・愛知県・大阪府・京都府・兵庫県の8都府県以外の道県は、全域が指定区域にあたります。さらに、この8都府県の中でも過疎地域など一部の市町村は指定区域とされています。

判定するのは事業所の場所ではなく、育成就労実施者の本店所在地です。ここは間違えやすいので気をつけてください。

監理支援機関が優良なだけでは2倍にならない

最後に、よくある誤解をひとつ。

2倍枠の要件になっているのは、あくまで受け入れ企業側の優良性です。監理支援機関が優良であることは、2倍枠の条件には含まれていません。

監理支援機関の優良性が効いてくるのは、指定区域とセットになる3倍枠のとき。「優良な組合と組んでいるから枠が2倍」ではないので、そこは切り分けて考えましょう。

単独型育成就労の受け入れ人数枠

ここまでは監理型のお話でしたが、育成就労にはもうひとつ「単独型育成就労」という形態があります。

単独型は、監理支援機関を介さず、企業が自社の海外拠点から直接受け入れる形です。技能実習の企業単独型と似ていますが、外国の取引先企業の社員は単独型では受け入れられなくなった点が大きな違い。自社の外国法人で1年以上働いている人が対象になります。

継続安定体制があるかどうかで枠が変わる

単独型の人数枠は、「継続的かつ安定的に育成就労を実施することができる体制」を持っているかどうかで、まったく別の扱いになります。

区分一般優良な実施者地方+優良
継続安定体制あり監理型と同じ監理型と同じ監理型と同じ
上記以外常勤職員数の20分の3(15%)10分の3(30%)なし

継続安定体制がない場合は、常勤職員数に対する割合だけで計算される代わりに、常勤職員数の下限が設けられています。一般枠なら20名以上、優良枠でも10名以上の常勤職員が必要です。

つまり、常勤職員が10名の企業は、監理型なら9人受け入れられますが、単独型(継続安定体制なし)ではそもそも受け入れができないということになります。ここは大きな違いですね。

継続安定体制と認められる基準

次の①または②のいずれかに当てはまれば、継続安定体制ありとして扱われます。

① 事業規模の要件(いずれかに該当)

  • 製造業・建設業・運輸業その他:資本金3億円超、または常勤職員301人以上
  • 卸売業:資本金1億円超、または常勤職員101人以上
  • サービス業:資本金5,000万円超、または常勤職員101人以上
  • 小売業:資本金5,000万円超、または常勤職員51人以上

② ①に当てはまらない場合(すべてに該当)

  • 育成就労外国人の受け入れ実績があること
  • 過去1年間の受け入れで改善命令を受けていないこと
  • 常勤職員が60名以上在籍していること

多くの中小企業にとっては、単独型よりも監理型のほうが現実的な選択肢になりそうですね。

受け入れ人数枠を計算するときの5つの注意点

一覧表で自社の枠がわかっても、実はそこからが本番だったりします。「常勤職員が◯人だから◯人まで」と単純に計算すると、あとで枠オーバーが発覚…なんてことにもなりかねません。

ここでは、実務で間違えやすい5つのポイントを整理しておきますね。

①常勤職員に「含める人・含めない人」がある

人数枠の基準になる常勤職員数は、社内にいる人を全員数えればいいわけではありません。

  • 含めない:育成就労外国人、技能実習生
  • 含める:日本人職員、永住者・定住者、技術・人文知識・国際業務などの外国人、特定技能外国人

また、事業所ごとではなく本社・支社を含めた法人全体でカウントします。すでに外国人材を受け入れている企業ほど、この除外を忘れがちなので要注意です。

②1年目〜3年目の合計で見る

育成就労には技能実習のような1号・2号・3号の区分がありません。そのため人数枠は、在籍している育成就労外国人の合計に対する上限になります。

たとえば一般枠が9人の企業なら、1年目3人・2年目3人・3年目3人で合計9人。毎年9人ずつ受け入れられるという意味ではないんですね。

逆にいえば、同じ年度に一気に9人受け入れることも制度上は可能です。3年分の採用計画をセットで考えるのがポイントです。

③技能実習生も枠にカウントされる

制度が始まる2027年4月以降も、経過措置で技能実習を続けている人がいます。この1号・2号技能実習生は、育成就労外国人の数として枠に含めて計算します。

たとえば枠が15人の企業に2号技能実習生が6人残っていれば、新しく受け入れられるのは9人まで。移行期はここでつまずく企業が多くなりそうです。

なお、①のとおり常勤職員数を数えるときは技能実習生を含めません。「枠には含めるけど、職員数には含めない」——ここ、ややこしいので押さえておいてくださいね。

④枠にカウントしない人もいる

一方で、次のような方は人数枠の規制の対象外とされています。

  • やむを得ない事情によって転籍してきた人
  • 3年を超えて育成就労を延長している人
  • 妊娠・出産などで中断していた育成就労を再開する人 など

ただしこれは例外的な扱いです。まずは通常どおり全員を枠に含めて管理し、該当しそうなケースが出てきたら個別に確認する、という進め方が安全ですよ。

⑤常勤職員が減ると枠も減る

見落としやすいのが、人数枠は固定ではないということ。

日本人職員の退職などで常勤職員数が減れば、それに連動して受け入れ上限も下がります。ぎりぎりの人数で計画を組んでいると、あとから枠を超えてしまうリスクがあるんです。

区分の境目(30人と31人、50人と51人など)にいる企業は、少し余裕を持った計画にしておくと安心です。

【ケース別】受け入れ人数枠のシミュレーション

ルールがひととおり出そろったところで、実際の数字に当てはめてみましょう。自社に近いケースを探してみてくださいね!

ケース1|常勤職員10人・優良認定なしの企業

まずは小規模な企業から。常勤職員10人であれば「9〜30人」の区分にあたるので、基本人数枠は9人です。

ポイントは、これが3年分の合計だということ。1年目に3人、2年目に3人、3年目に3人という受け入れ方をすれば、ちょうど枠におさまる計算になります。

なお、このケースを単独型でやろうとすると、継続安定体制がない限り常勤20名以上が必要なので受け入れができません。監理型を選ぶことになりますね。

ケース2|常勤職員52人・うち5人が技能実習生の優良企業

少し複雑になるパターンです。順を追って計算してみましょう

  • STEP1|常勤職員数を出す:52人のうち5人は技能実習生なので、職員数からは除外します。→ 47人
  • STEP2|区分を確認する:47人は「41〜50人」の区分。基本人数枠は15人、優良認定を受けているので2倍の30人が上限です。
  • STEP3|すでに在籍している人を差し引く:技能実習生5人は育成就労外国人としてカウントされるので、30人から差し引きます。→ 新たに受け入れられるのは25人

「52人 → 41〜50人の区分」というひと手間を忘れると、区分がひとつずれて枠を読み違えてしまいます。ここが一番のつまずきポイントです。

ケース3|常勤職員20人・地方の優良企業+優良な監理支援機関

最後は、枠が最大まで広がるケースです。

常勤20人は「9〜30人」の区分なので基本人数枠は9人。ここに、

  • 自社が優良な育成就労実施者である
  • 優良な監理支援機関の監理支援を受けている
  • 本店所在地が指定区域(地方)にある

という3条件がそろうと、3倍の27人まで拡大します。

常勤職員20人の会社で27人ですから、ケース1と比べると3倍の差。同じ規模でも、優良認定と監理支援機関選びでここまで変わってくるんですね。

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分野によって人数枠のルールが違うケース

ここまで見てきた人数枠は、あくまで基本ルール。実は分野によっては、別の考え方が適用されるケースがあるんです。

自社の分野が当てはまらないか、チェックしておきましょう。

介護分野は「事業所ごとの常勤介護職員数」が基準

介護分野では、法人全体の常勤職員数ではなく、育成就労を行わせる事業所ごとの常勤介護職員数をもとに人数枠を確認します。

事業所の常勤介護職員の総数育成就労外国人の数
301人以上常勤介護職員の総数の20分の3
201〜300人45人
101〜200人30人
51〜100人18人
41〜50人15人
31〜40人12人
21〜30人9人
11〜20人6人
10人以下3人

優良認定を受ければ2倍、指定区域+優良な監理支援機関の条件を満たせば3倍になる点は、ほかの分野と同じです。

ただし介護分野には、もうひとつ大切な決まりがあります。それは、育成就労外国人の数が事業所の常勤介護職員数を超えられないというもの。

たとえば常勤介護職員が21人の事業所で3倍枠が使えたとしても、計算上は27人でも、実際に受け入れられるのは21人までということになります。

複数の事業所を運営している法人は、法人全体の職員数で判断せず、受け入れを行う事業所ごとに確認してくださいね。

農業・漁業の派遣形態は「いちばん少ない枠」が上限

季節性のある農業・漁業分野では、派遣元と派遣先が共同で育成就労計画を作成することで、労働者派遣の形態での受け入れが認められています。

この場合の人数枠は少し独特で、派遣元・派遣先それぞれの個別人数枠のうち、もっとも少ない数が上限になります。

派遣元の枠が12人でも、派遣先の枠が3人であれば、その派遣単位で受け入れられるのは3人まで。どこか1か所でも枠が小さいと、そこがボトルネックになる仕組みですね。

なお、派遣先の数は最大3か所まで(派遣元でも就労させる場合は最大2か所)と決まっています。

その他の分野は基本ルールどおり

介護以外の分野については、現時点で人数枠の特別なルールは示されていません。

とはいえ、運用要領や分野別の詳細は今後も追加される可能性があります。実際に計画を進めるときは、自社分野の最新の分野別運用方針を確認しておくと安心です。

国全体の受け入れ上限は約123万人

ここからは、記事の最初にお伝えした「2つ目の上限」のお話です。

自社の枠がクリアできていても、国が定めた分野の枠が埋まってしまえば受け入れはできません。採用計画を立てるうえでは、こちらもあわせて見ておく必要があるんです。

※特定技能1号の80万5,700人に触れる箇所で、19分野の内訳へ逃がせます。

育成就労は2年間で42万6,200人

2026年1月23日に閣議決定された分野別運用方針で、育成就労の受入れ見込数は42万6,200人と定められました。対象となるのは、制度が始まる2027年度から2028年度末までの2年間です。

これに特定技能1号の80万5,700人を加えた約123万人が、両制度を合わせた上限になります。

この数字、算出のロジックが少し独特なんです。

受入れ見込数 = 人手不足数 −(生産性向上による人材確保相当数 + 国内人材確保数)

つまり「足りない分を全部外国人で埋める」のではなく、まず省人化や国内人材の確保で対応し、それでも残る分だけを外国人材の枠にする、という考え方。実際、特定技能1号の枠は以前の試算の約82万人から下方修正されています。

なお、この123万人は現在の在留者数に上乗せする数ではありません。すでに在留している人も含めた総枠なので、ここは誤解しやすいところです!

分野別の受入れ見込数一覧

育成就労の対象は17分野。分野ごとの内訳は次のとおりです。

分野育成就労の受入れ見込数
建設123,500人
工業製品製造業119,700人
飲食料品製造業61,400人
介護33,800人
農業26,300人
造船・舶用工業13,500人
自動車整備9,900人
ビルクリーニング7,300人
物流倉庫6,900人
外食業5,300人
宿泊5,200人
資源循環3,600人
リネンサプライ3,400人
漁業2,600人
木材産業2,200人
鉄道1,100人
林業500人
合計426,200人

建設と工業製品製造業だけで全体の半分以上を占めているのがわかりますね。逆に林業や鉄道は枠が小さいので、その分だけ埋まるのも早い可能性があります。

上限に達すると育成就労計画の認定が止まる

では、分野の枠が上限に達しそうになるとどうなるのでしょうか。

その場合、育成就労計画の認定が一時的に停止されます(特定技能1号の場合は在留資格認定証明書の交付停止)。

怖いのは、すでに雇用契約を結んでいても、原則として認定を受けられなくなるという点。「内定を出したのに受け入れられなかった」という事態も起こりうるわけです。

再開されるのは、分野を所管する省庁から「また人材が不足している」という要請があったとき。いつ再開されるかは読めません。

一方で、すでに在留している人の在留期間更新は、原則どおり審査されます。在留者数が増える要因にはならないためです。ここは切り分けて理解しておきましょう。

なお、受入れ見込数の見直しは5年ごと。大きな経済情勢の変化がない限り、この数字が上限として運用されます。枠の消化が早そうな分野の企業ほど、早めに動いておくのが得策ですね。

技能実習と比べて受け入れ枠はどう変わる?

すでに技能実習生を受け入れている企業なら、「結局、枠は増えるの?減るの?」が一番気になるところですよね。

制度が変わるので単純比較はできないのですが、在籍できる人数の最大値で並べてみると、傾向がはっきり見えてきます。

※技能実習の1号・2号・3号それぞれの期間や要件については、以下の記事をご覧ください。

一般の企業は、ほぼ横ばい

技能実習では、1号・2号・3号それぞれに人数枠がありました。常勤職員30人以下の企業を例にすると、基本人数枠は1号が3人、2号はその2倍の6人。優良でない企業は3号を受け入れられないので、在籍できるのは合計9人が上限でした。

一方、育成就労では区分がなくなり、1年目〜3年目の合計に対する枠が9人。つまり、一般の企業にとっては実質的にほぼ変わらないという結果になります。

優良企業は、実質的に枠が縮む可能性

差が出るのは優良認定を受けている企業です。

技能実習では、優良な実習実施者・監理団体であれば1号6人・2号12人・3号18人と枠が広がり、在籍できるのは合計36人でした。対して育成就労の優良枠は18人。単純に並べると、半分に近い水準です。

さらに指定区域+優良な監理支援機関の3倍枠を使っても27人なので、技能実習の36人には届きません。

優良認定を取って多くの技能実習生を受け入れてきた企業ほど、移行時に枠が窮屈になる——ここは早めにシミュレーションしておきたいポイントです。

数字だけでなく「考え方」も変わる

もうひとつ大きいのが、枠の見方そのものが変わること。

技能実習は「毎年、1号の枠だけ新しく採用する」という積み上げ型でした。育成就労は3年分の合計で管理するので、採用計画を3年単位で設計する必要があります。

移行期には技能実習生も枠にカウントされますから、「今いる人が何年に抜けて、次に何人採れるか」を年度ごとに並べてみるのがおすすめです。

※上記の比較は、公表されている両制度の人数枠をもとにした編集部の試算です。実際の受け入れ可能人数は分野や個別事情で変わるため、監理支援機関にもご確認くださいね。

転籍者を受け入れる場合は別の人数制限がある

最後にもうひとつ。育成就労では、本人の意向による転籍が新たに認められるようになりました。

この転籍者を受け入れる場合、これまで見てきた人数枠とは別に、割合の制限がかかります。「枠には余裕があるのに受け入れられない」というケースもあるので、押さえておきましょう。

※転籍の要件や分野ごとの制限期間については、以下の記事で詳しくまとめています。

転籍者は在籍者の3分の1まで

まず基本となるのが3分の1ルールです。

自社にいる育成就労外国人の総数のうち、本人意向で転籍してきた人の割合が3分の1を超えてはいけません

計算するときは、これから受け入れようとしている人も分母・分子の両方に含めます。たとえば転籍者を1人受け入れて育成就労外国人が全部で3人になるなら、1÷3でちょうど3分の1。ここが上限ということですね。

在籍者の大半が転籍者、という状態は人材育成という制度の趣旨に合わない、という考え方からきています。

都市部の企業が地方から受け入れる場合は6分の1まで

もうひとつ、地方から人材が流出しないようにするための制限があります。

転籍先の企業が指定区域外(大都市圏など)にある場合、指定区域(地方)から受け入れる本人意向の転籍者の割合は、育成就労外国人の総数の6分の1以下に抑える必要があります。

つまり、都市部の企業が地方の人材を引き抜く形になるケースだけ、より厳しい上限がかかるわけですね。

なお、転籍者を含めても育成就労外国人が6人未満という小規模な企業は、3分の1ルールを満たしていれば1人まで受け入れが可能です。

転籍元・転籍先の組み合わせで整理すると

割合の制限は、どこからどこへ転籍するかで変わります。

転籍元 → 転籍先転籍者の割合
地方 → 地方3分の1以下
地方 → 大都市圏6分の1以下
大都市圏 → 地方3分の1以下
大都市圏 → 大都市圏3分の1以下

厳しくなるのは「地方 → 大都市圏」のパターンだけ、と覚えておくとシンプルです。

ちなみに転籍者を受け入れられるのは、優良な育成就労実施者に限られます。あわせて、転籍元が負担した初期費用を在籍期間に応じて補填する必要もあるので、条件はなかなか細かいんですね。

※実際に受け入れを進める際の費用感については、以下の記事で内訳と相場を解説しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

育成就労の受け入れ人数の上限について、企業ごとの人数枠から国全体の上限まで詳しく解説してきました!

今回の重要なポイントをまとめると、以下のようになります。

  • 育成就労の「上限」には、企業ごとの人数枠分野別の受入れ見込数の2種類がある
  • 企業ごとの人数枠は、常勤職員数に応じて決まる(監理型は段階的な人数表、301人以上は15%)
  • 優良な育成就労実施者なら2倍、指定区域+優良な監理支援機関の条件がそろえば3倍まで拡大
  • 常勤職員が8人以下の区分は、倍率がそのまま当てはまらないので表の実数で確認する
  • 人数枠は1年目〜3年目の合計に対する上限。毎年その人数を受け入れられるわけではない
  • 常勤職員数に育成就労外国人・技能実習生は含めない。一方で、経過措置中の1号・2号技能実習生は人数枠にはカウントされる
  • 介護分野は事業所ごとの常勤介護職員数が基準で、その人数を超える受け入れはできない
  • 国全体の上限は育成就労が42万6,200人、特定技能1号と合わせて約123万人
  • 分野の枠が埋まると育成就労計画の認定が一時停止され、契約済みでも受け入れができなくなる
  • 転籍者の受け入れには、人数枠とは別に3分の1・6分の1の割合制限がある

制度がスタートするのは2027年4月ですが、監理支援機関の許可申請は2026年4月15日から、育成就労計画の認定申請は2026年9月1日から、すでに受付が始まっています。

「施行されてから考えよう」では、正直なところ間に合いません。まずは自社の常勤職員数を正確に把握して、3年分の受け入れ計画を試算してみるところから始めてみてくださいね。

優良認定を目指すのか、監理支援機関をどう選ぶのかによって、受け入れられる人数は大きく変わってきます。判断に迷ったときは、監理支援機関や専門家に早めに相談しておくと安心です。

この記事が、みなさんの受け入れ準備の第一歩になれば嬉しいです!